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「なんだ、口が聞けないのか？」
と、話しかけてくる。
男の後ろを見れば、いかにも高そうな車が停まっていた。
冷や汗をかきながらも、話さなくても死ぬ、と思い、震えた手を握りながら、後ろにある壁に縋るように背中をぴったりとつけ、ぎゅっと目をつぶって口を開いた。
「っこ、殺すんですか」
「…は？」
「殺されるんですか、私」
そう聞けば、なかなか返事が返ってこない。涙目のせいで目の前が滲むも、ゆっくりと目を開ければ、その男は口を半開きにしていたのがわかった。
「…えっと、……え？」
「いや、…はは、いやはや、悪い。最近、こんな扱いをされる事がなくてね。失礼、お嬢さん。」
そう言いながら、男はかけていたサングラスを外す。
白髪が印象的で、サングラス越しに鋭い目が見える。
「私はヴァンダーマーと言う。」
「ヴァンダーマー、さん…？」
ああ、そうだ。と言い、軽く笑う。…サングラス越しの目が柔らかくなったのを感じた。
「お嬢さんの名前は?」
「…えっと、ヴァンダーマー、さん」
「なんだい？」
「その、名前を覚えてなくて、私」
そうちらっとみれば、ふむ…と顎に手を当て、しかし疑う様子はなかった。
「なるほど。この街では、稀にあるんだよそういうことが。きっとそれだろう」
「記憶喪失が、ですか？」
「ああ。私の知り合いの警察も一度、記憶喪失になったのをみたことがある。良ければ、一緒に街を回ろうか。君の知り合いを探そう」
あくまで君が望むのならだけどね、と付け足す。
迷う心を振り切らないまま、しかし助けてくれるような気がして、こくんと首を縦に振る。親切すぎてまた涙が出てきそうだ。何も怖い人ではなかった。
私が了承したのを確認すると、ヴァンダーマーさんは私に手を差し出した。
「さあ取りなさい、…お嬢さん」
一度躊躇し、ヴァンダーマーさんの目を見る。彼は、それに微笑みを返した。
すっと息を吸い込み、私は手を―――
その時。ヴァンダーマーさんの後ろから大きな声がした。
「ボス！ヘリ！」
それを聞くと弾かれたように上空を見やる。私もつられて上を見れば、ずっと遠く、そこにはヘリコプター。まだ小さいが、こちらへ降りてこようとしているみたいだ。
目の前のヴァンダーマーさんは小さく「クソ…」と言い、差し出してくれた手を引っ込め、立ち上がる。私の頭をくしゃっと撫でてから後ろの車に乗り込む。
…私を見た。
「…ここからは彼らを頼ると良い。ではまた。お嬢さん」
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245(プロフ) - かとを74さん» コメントありがとうございます！モチベが倍になりました。とても嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします🥳 (3月28日 11時) (
レス) @page23 id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
かとを74(プロフ) - 更新される度嬉しいです！ (3月26日 17時) (レス) id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
245(プロフ) - とくさん» ありがとうございます…！修正いたしました🙇🙇今後ともよろしくお願いいたします☺️ (1月6日 17時) (レス) id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
とく - めちゃくちゃ面白いです！！更新楽しみに待ってます…！！(ストリーマーグラセフだったのは前で、今はストリートグラフィティ・ロールプレイ、略してストグラのようですよ…！) (12月25日 22時) (レス) id: b931af8e9b (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ好きののあ。 - 8話でこのクオリティ。これは神作品の予感... ！ (12月20日 11時) (レス) @page8 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：245 | 作成日時：2023年12月7日 3時
