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記憶喪失って本当にあるんだなと思った。

だって、現に今そうだから。


「ここ、…どこ?」


ぼんやりとする頭を上げ、キョロキョロと見回す。どうやらここは路地のようで、よくわからないながらもとりあえず立ち上がってみるが、体の節々が痛い。

どうしてこんなところに、と思った時に、気がついたのだ。ここまで来た経緯や方法はおろか、私のここまでの生きた軌跡さえ思い出すことができない。

住所、経歴、年齢、そして自分の名前もすべてすっぽり。
もともと存在していたのか?と疑ってしまうほど、なにもない。


とにかく、誰かに助けを求めなきゃ、と思い、壁に手をつきながらよたよたと歩き出し、音のある大通りを目指す。私が目を覚ました場所はゴミ捨て場で、何週間も放置されてるのか悪臭を放っていたり、スプレーでの落書きがあったり、ひたすら治安の悪い風景。

が、私の今の服装も身綺麗と言えるような格好でもなく、傷には塵や砂が混じって痛い。自分では見えないが、顔もじくじくする。

時々通る車の音やパトカーの音を頼りに、ようやく大通りまで出る。しかし。きょろきょろと辺りを見回すが、車通りや人通りはなかった。もうすぐらしいが、もう一本奥だったみたい。

私の体力はこれでも結構限界で、歩くと関節が痛むし、息切れがすごい。


「一旦、休憩…っ」

よいしょ、と道の端の地べたに座り、息を整える。

手のひらを見つめる。手も擦り傷だらけで、すでにかさぶたになっているものばかりだが、手を握ったりすれば痛い。私の足も、裸足だからだろう、かさぶたになっていたし、足の裏はまだ新しい傷がある。さっきどこかで怪我してしまったのだろうか。傷に気づいた瞬間、痛くなってきたような気がしてきてしまう。

…どうしてこんなことになっているのだろうか。想像しようにも、全く見当がつかない。転んだ、とか、喧嘩、とか。でも、流石にあんなところに放置するか?とも思う。わからない、する人はするのかもしれないけれど。

休憩しながらそんなことを考えていた。
その時、私が見つめている足の先に、影が落ちる。


「お嬢さん、こんなところで何をしているのかな?」

人の声、と思って顔をはっとあげる。
そこには、サングラスにヒゲを生やした、スーツの男がいた。
低い声、凄まじい威圧感。初めての住人ガチャ、大失敗。
ああ死んだな、と思った。

男はその場でしゃがみ込み、私に目線を合わせてきた。

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245(プロフ) - かとを74さん» コメントありがとうございます!モチベが倍になりました。とても嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします🥳 (3月28日 11時) (レス) @page23 id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
かとを74(プロフ) - 更新される度嬉しいです! (3月26日 17時) (レス) id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
245(プロフ) - とくさん» ありがとうございます…!修正いたしました🙇🙇今後ともよろしくお願いいたします☺️ (1月6日 17時) (レス) id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
とく - めちゃくちゃ面白いです!!更新楽しみに待ってます…!!(ストリーマーグラセフだったのは前で、今はストリートグラフィティ・ロールプレイ、略してストグラのようですよ…!) (12月25日 22時) (レス) id: b931af8e9b (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ好きののあ。 - 8話でこのクオリティ。これは神作品の予感... ! (12月20日 11時) (レス) @page8 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:245 | 作成日時:2023年12月7日 3時

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