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神山side
『神山くんへ
元気にやってるかい?
虎は大事にしてくれてるかな?
神山くんの新しい兄弟として、大事にしてくれたら嬉しいです。
そろそろ、もうちょっと遊んでみたらどうかな?
友達もできた、フィリップが抜けて、新しい兄弟もできた。
君は今、どんな気持ち?
檻から開放された、ライオン、みたいな気持ちじゃないかな?
やっと、フィリップの檻から出られたんだ。
次のステップに進んでみよう。
フィリップという名の檻に入る前、君は何をしていた?
分からなかったら、2枚目を読みなさい。』
これで、1枚目は終わっていた。
フィリップに出会う前…
思い…出せない…
違う、俺は、生まれつき、フィリップに………。
過呼吸を起こしそうになった。
でも、ぐっと堪えた。
落ち着こう…。
先生はフィリップが悪人のようになる前、普通だった時のことを言ってるんや。
フィリップが悪人になったのはいつやったっけ…?
それさえも思い出せない。
その前やって…。
俺はゆっくり、1枚目をめくった。
『分からなかったようだね。
君は友達を作るために私がダンススクールに通わせていたんだ。
君はダンスをやっていたんだよ。』
…!
病院でもAちゃんとアイドルの真似みたいなことを何回かやったことがある。
すごく、たのしかった。
フィリップを忘れていつの間にか打ち込んでいて…。
Aちゃんとかみんなに上手いねって褒められて…。
そっか、ダンスをやっていたから、上手に踊れたのか…。
『君の実力はピカイチだった。
フィリップとおしゃべりしていたから友達は出来ていなかったが、
ダンスのコーチはとても君を褒めていたよ。
そんな君におすすめの動画を送るよ。
真似して踊ってごらん。
きっと、二重人格だった頃など忘れられるはずだ。
藤村より』
封筒の中にはひとつのUSBメモリが入っていた。
そこには、たくさんの動画のデータがあった。
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作者名:あづまん | 作成日時:2017年10月1日 23時