一緒に帰ろう (ページ35)

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「ったく、無理しすぎ」

「まさか倒れるなんて、思ってなかったんだもん…」

「俺だって、40度近くまで熱出すとは思わなかったよ」

「うそ、そんなに出たの？ …けほけほっ」

「うぉっ、おっきな声出すなって」

自分でもバカだと思ったのか、苦笑しながら咳き込む君の背中をさする。

「やっぱ病院のあたり、覚えてない？」

「……ぁ、ごめん…汚いとこ、いっぱい見せたよね…」

「あ、いや。そんなの気にしなくていいよ」

「ほんとごめん…。あんな吐いちゃうとは…」

ぼんやりとでも覚えているのか、目を伏せる。

「あのね、それ熱のせいだってさ」

「…へ？」

「熱高いと、消化が上手くいかなくなるんだって」

「ぁ、そーなんだ…」

「もう気持ち悪いとか、どっか痛いとかない？」

「…ちょっとだけ、お腹…痛い…」

「お腹？触ってもいい？」

「ん…」

よく見れば、布団の中では、お腹をかばうように丸くなっていて。

そっと手を入れ、パジャマ越しにお腹に触れる。

「…ゴロゴロする？」

「んーん。ぎゅーって痛い…」

「お腹も、消化できてないのかな…」

でも触ったかんじ、下ってるかんじもないし…

「熱も下がってきてるから、きっとすぐ良くなると思うよ」

「…ん」

「そーんな顔しないの。くるくるしとくから、もう寝な？」

パジャマの上から、ゆっくりと円を描くと。

かすかに耳を赤くしながら、目を閉じてくれて。

「おやすみ」

小さく声をかけると、少しだけ口角が上がった気がした。