一緒に帰ろう (ページ31)

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手に持つ袋に気付いた看護師さんが、口元に容器を置いてくれて。

俺は君の代わりに、先生に状態を伝える。

問診表を見ながら話をしていると、小さく音が聞こえて。

また少しだけ、容器に戻してしまっていた。

先生は君の背中をさすりながら、容器の中を覗き込む。

「気持ち悪いね、我慢しなくていいですよ」

「ぇ…ッ、うえ……ごほっ」

「結構吐いてました？」

「ここに来る時に酔ってしまったみたいで、３回ほど…」

「んー、そうですか」

症状の欄に、「嘔吐」と書き足される。

その後、吐き気が少し治まったらしい君に。

パジャマの前を開けて、聴診器をあてたり。

血圧を測ったり、喉を見たりして。

いわゆる「風邪」との診断を受けた。

「熱が高いですから、消化機能が落ちてきているようですね。戻してしまったのも、そのためでしょう」

「はあ…」

「吐き気止めも合わせて、こちらで点滴していってください」

「…はい」

つい数時間前まで、仕事をしていたというのに。

夜間救急で点滴という事態に、さすがに不安になる。

現に病院に来てから、君の声を聞いていない。