一緒に帰ろう (ページ30)

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「ごめんなー、熱測るよー」

さっきの彼氏さんと同じ体勢で、君の脇に体温計を入れて。

そのまま、手渡された問診表を代わりに埋めていく。

「えっと、主な症状は…」

熱、咳、めまい？

こう書くと、あんま無いもんだな…。

「ぐったりしてる、って倦怠感か？俺じゃねえからわかんねーな…」

うだうだと考えてはみるものの。

膝に伝わる君の苦痛に、考えがまとまるわけもなく。

そうこうしていると鳴り響いた機械音。

引き抜いて表示を見れば、39.7度。

「うわ、つらいなー」

体温を書き写し、顔を覗き込むと。

袋を口元に近づけて、震える呼吸をしている。

「吐きそ？ちょっと身体起こそっか」

俺にもたれるようにしてやると、ぴくんと背中が揺れて。

「おぇ……ん、けほっ」

少しだけ、袋に戻してしまう。

「ごめん。運転荒かったみたいだね」

ぐったりと寄りかかってくる君の背中をさすっていると。

ベテランっぽい看護師さんがやってきて、診察室へ通してくれる。

何度持っても軽すぎる身体を抱え、先生の横にあるベッドに寝かせた。