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しばらくうつむいているけど、顔色はよくならなくて。
寒いのか、吐き気がするのか。
背中に触れる手から感じる熱は、さすったおかげで温かくて、よくわからない。
もちろん君は何も言わず、普通を装って資料をめくる。
いや、むしろ俺が、打ち合わせどころじゃないぞ。
資料をめくりそこねること数回、ようやく最後のページ。
「では、準備ができましたらお呼びしますので」
「はい。よろしくお願いします」
君も少し腰を浮かせてあいさつをして、楽屋の扉が閉まると。
崩れ落ちるように、がたりと机に伏せた。
「にのっ」
「はぁーっ、はぁー…っ」
苦しそうに、大きく背中で息をする。
「気持ち悪い？ 大丈夫か？」
「…っ、ただの…貧血…」
「貧血？目まわる？」
「ぐるぐる…する…」
遠巻きに見る２人とは対照的に、眉を下げつつ近づいてくる潤。
「和、どうする？」
「なに…」
「無理そうなら、相談してくるよ？」
「……っ、無理…」
「そうだよな、しんどいな」
「いまさら、中止とか…」
「え？」
「やるっきゃ…ない、でしょ」
ゆっくりと顔を上げて、俺と潤の目を見る。
一度目を閉じて、大きく深呼吸をして。
「大丈夫、いけます」
そう言った君は、いつもの「ニノ」で。
「嵐さーん、お願いしまーす」
「はぁい」
タイミングよく、スタッフさんが開けた扉に。
にこやかに返事をして、ふらつくことなく立ち上がる。
けほん、とひとつ咳をして。
「行きましょ？」
振り返って、首をかしげて笑った。
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作者名：あんず
| 作成日時：2017年9月10日 21時
