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夏前から、ずっとドラマの主演を務めていた君は。
雑誌やバラエティのゲスト出演も多く、多忙を極めていた。
視聴率が好調なこともあり、取材媒体も相当な数で。
嵐のお母さん、いや、自称にののお兄ちゃんとしては。
心配しないわけがない。
「一回座るか？」
「や、もー平気みたい」
上げた顔には、疲労の色が見えて。白い肌に浮かぶ青っぽい隈が、いかにも不健康で。
「にのぉ…」
思わず、その細い身体を抱きしめた。
変態、って突き飛ばされるかと思ったけど。
静かに動いた手が、俺の背中に触れた。
「大丈夫。俺、もうちょっと頑張るから」
とことん弱みを見せてくれない君は、背中をとんとん叩いて。
「ほら。遅れちゃうよ、キャスターさん」
身体を離して、首をかしげて笑った。
扉が閉まってから気づいたけれど。
そういえば君も、これからここで収録だった。
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作者名：あんず
| 作成日時：2017年9月10日 21時
