会いたいひと (ページ4)

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「ちゃんとご飯、食べてんの？」

「あんま…食欲なくて」

おびえた子犬のような上目使い。俺これ弱いんだって。

「ったくもー…。俺だったからいいけど、松潤だったら怒られてるよ」

「…だから翔ちゃん、呼んだの」

「はは、どうりで。看病ならあいつの方が適任なのに」

「んふふ」

冷蔵庫を確認すれば、これも予想通りからっぽで。またも買い物袋をあさる。

「お粥でいい？…レトルトだけど」

「ん…」

疲れたのか、眠たそうに返事をする。ずれた布団を掛け直し、台所に向かった。

コンロの上には小さな土鍋。開けると、水と生米。シンクには、米を研いだであろうボウル。

「お粥…作ろうとしたのか」

具合が悪くて、途中でやめたのだろう。状況が思い浮かんで、苦しくなった。

たぶん、食欲がないんじゃなくて。…作る元気がないんだ。

申し訳ないことに、この続きから作る実力は持ち合わせていない。

見なかったことにして、隣のコンロで、レトルト粥を作り始めた。