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やっぱり何度ママのことを考えても、思い浮かぶのはそんなことばっかりで、わたしはうんざりする。
ママはまだ若かったし、息を引きとった時、ひとりぼっちだったからそのことをわたしは悔やんでいるからなのか。
どうしたってママはわたしのたったひとりの家族で、切っても切りはなすことのできない絆のようなものがそこにあるからなのか。
でもそんなのって、なんだか、ずるい気がする。
ママの好きだった曲は後奏をフェードアウトさせて消えていった。
ずるい気がするけどそれはもう、仕方ないことなのかもしれない。わたしは紛れもなくママの娘で、ママはわたしの母親で。それ以外なににもなれないのだから。
おおきな魚は泳ぎ続ける。目を光らせて、暗闇を食べながら。夜の高速道路を、まっすぐ泳ぐ。
わたしはそれからしばらく、過ぎ去っていった時間のことを思い出しては、ひとやものや景色に想いを巡らせていた。
すごく、すごく仲が良かったのに特に何があったわけでもなく、いつの間にか疎遠になった友達。
数年前に別れた恋人の変な癖。
気に入ってよく行っていたのに、突然閉店してしまった家の近くのパン屋さん。
わたしは今、とびきりお金持ちなわけでもなければ恋人がいるわけでもないし、嫌なことだってたまにはあるけれど、特に何かに不満を抱いているわけでもない。
わたしはしあわせで、日々はゆるやかに穏やかに丁寧に過ぎていく。
ただ、こういう時は決まって、すこし、ほんのすこしだけ動かない時間を切なく思ったりする。誰にだって、きっとあることだと思う。
年月を重ねれば重ねるほど、すこしずつ思い出の輪郭がぼやけていってしまうことがさみしくて、いつまでもしがみついていたくなる。
ちゃんと、探し出す。どこにいても。
それはもう、生きている言葉じゃなかった。
とっくに、だいじな化石のようになっていて、もうそこに強い祈りや依存を感じることはなくて。なつかしくて、やさしくて、ちょっとだけ苦しい。
だけど多分わたしにとってはお守りのようなものなのかも。あるだけで、すこし、強くなれる。
わたしはゆっくり、目を閉じる。
次に目を開けるころにはこの巨大な魚はおおきなバスになっていて、ちゃんと朝に到着しているはずだ。
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蒼 夢見子(プロフ) - 幸さん» 幸様、心のこもったあたたかいお言葉ありがとうございます。こんなこと言っていただけるとすこし自惚れてしまいそうだなと思ってしまうほど本当にうれしいです。お礼を言いたいのはこちらのほうです…私は幸さんのコメントにあたたかい気持ちになりました^^ (2019年11月26日 19時) (
レス) id: c01abe0da9 (このIDを非表示/違反報告)
幸 - 夢見子さんの作品は、何でこんなに引き込まれるんだろう…と、日々不思議に思っています。(笑) ものすごく好きな作者さんです。暖かい気持ちにさせてくれて、ありがとう。私も、夢見子さんのように、誰かを暖かい気持ちにさせられる人になりたいです。 (2019年11月21日 20時) (レス) id: 295a9fdbac (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 碧さん» 碧様、初めまして。お返事遅くなりすみません（涙）そう言っていただけてとてもとても嬉しいです。思うように書けずにいて読んでくださっている皆さんには申し訳ない気持ちですが…あたたかいコメントを糧に頑張ろうと思います！ありがとうございます！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: 0c7f8e1b68 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 初めまして。すごく楽しみに読ませて頂いています。夢見子さんの作品はいつも切なくて温かいものばかりで、大好きです！応援しています。 (2019年4月2日 18時) (レス) id: d6c70f3491 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 翠穂さん» 翠穂様、お返事大変遅れてしまってごめんなさい…！そしてあたたかいコメントありがとうございます（涙）すこしずつしか更新ができていませんが今後の展開も見守っていただけるとうれしいです！ (2019年3月25日 12時) (レス) id: 742d92b89e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年1月30日 0時
