Oh！No！ V F ページ20
『え〜と、私からはですね…。』
ライブ中MCの終盤、恒例の番宣タイム。
今発表できるグループ全体。又は各メンバーの宣伝事項をPRする。
俺は次のソロ曲があるから、最初に今放送中のドラマ宣伝して捌ける手順なんだよね。
えーと、俊くんも出てるから一緒に……。
と、７人並んでいたステージの向こうの方からパタパタと走ってくる俊くん。
『……ヘイっ！』
『…っ…可愛いな。』
お待たせっ！と言わんばかりに満面の笑みで走ってきた俊くんに、思わず本音がポロリと出てしまった。
いや、子犬来たわ。
俺のとこへコロコロと転がってきたわ。
いやもう可愛いったらないわ〜っ！
前に自分で《俺、ポメラニアンみたいじゃない？》なんて言うから、冗談でもキモいからやめなさいって言ってたけど、撤回！
やっぱりきゅるきゅるのポメちゃん１匹いましたーっっ。
か〜わ〜い〜い〜〜〜っ！！！
ああぁっ、この子持って帰るぅぅっ！
………あ。ヤベ。
本当の飼い主がこちらを見ている。
いやいや、そのニッコリが１番怖いわっ！
しかもすぐに真顔になったしっ！？
このポメちゃん、子犬系男子ならぬ子ライオン系男子が飼い主なんでね。
ダメだ、お持ち帰りはまた今度。さっさと宣伝してニカをイジッて捌けちゃお。
…なんて話を渉にしてたら、渉が笑う。
『もう一匹いるじゃん、きゅるきゅるのおチビさんでキャンキャン言ってたのが。』
『キャンキャン？渉？』
『俺もかい！……そりゃまあ、吠えてたけど。じゃなくて北山さん。』
あー、熱い男だからねぇ。
きゅるきゅるなのに生意気で、グループのことになると更に熱くて。
ニカが悪ぶってグループのことに後ろ向きだった時には、友だちとやらとご飯してるとこへ乗り込んで殴り合いの喧嘩なんてのもあったな。
ポメラニアン…？
いや、どっちかと言うと柴犬？
自分の居場所守る為にキャンキャン吠えてたとこは、柴犬じゃね？
『まぁ、ポメでも柴でもいいけど。猫よりは犬だな。玉以外は全員イヌ科っぽい。』
『ペット介護士資格保有者様。俺らの老後はよろしく。』
『何でだよ！』
ふむ。それぞれのわんこたちがこのグループを守る為に、それぞれの場所で吠えて、鳴いて、走り回って、人との関係を作り、芸を覚え…そしてまた、このホームへ帰ってくる。
前よりも強く賢く美しくなった奴らが。
……俺もカッコイイわんこにならなきゃね。
ん？そう考えると、わんこサーカスみたい？
…あ、１匹ライオンいるけどな！
fin.
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作者名：みあん | 作成日時：2021年5月11日 23時
