I need you！ vol.2 (ページ17)

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Jack Pot Ⅶ N ページ17

『生命の危険は楽しいぜ！』

ドMだ。
宮…それはただのマゾじゃね？

ビビりと言いつつ、舞台の演出装置を最初に試す役は大抵宮田。
《ひゃあ〜！でもビビりの俺が大丈夫なら、みんな怖くないってことだよね》なんて。

実は俺も頼んじゃうからさ。あんまし大きな声では言えねんだけど。
頼みやすいのよ。二つ返事ではないけどね。
《えぇ？俺？？》って言いながら、もう身体が１歩踏み出してる。そういう人だから、つい頼っちゃう。

なんで俺が自分でやんないのか？
怖いじゃんっ！俺、暗いとこも高いとこも嫌いなんだよっ！！

あ、北山さんも割と危険なこと平気でするけどね。

《人間はいつか死ぬんだから》

ってうそぶくんだけど、北山さんはまだちゃんと怖さを分かってやってるから安心できる。
その怖さを振り払う為に、入念な準備をするから。

ガヤも、俺がライブの演出で高いとこ怖がってたらこう言った。

《なんで怖いの？舞台で死ねたら本望じゃん》

いや、本当にそうなったらみんなに大迷惑なんだけど、その覚悟で生きてるんだと思ったらキュンっとした。
本当は彼も慎重派だけど、舞台人としてスイッチが入れば、そんなことはお首にも出さない。

でも、宮田はちょい違う。怖いのを受け入れながらもどうにかなると思ってる。いや、気持ちが無事なら、そこはどうでもいいとさえ思ってるのかも。

デビュー間もない頃に始まった俺たちの冠バラエティで、最初に挑戦させられた１０メートル下のプールへの高飛び込み。
宮田とタマ、北山さんが目隠しで上らされて、急に飛び込めと言われたんだ。
あの時、他の２人も２〜３０分掛かったが宮田は１時間以上飛び込めなかった。だけど、番組制作側も大切な初回だから、そう簡単には止めさせられなくて。

やっと飛び込んだ後も、拍手喝采の中宮田は実は落ち込んでいた。更衣室でタマがヨシヨシしてた。番組の最初から空気を止めたことが、かなり辛かったらしい。

《それでも記憶に残ればいいじゃない》

そんな先輩の言葉で立ち直ったって言うけど。

あれから１０年、ビビりで心配症で石橋を叩いて渡る宮田が、色々あって斬り込み隊長に成長したってこと…かな？

『タマ…さっきの…頭打ってない？』
『大丈夫！自分から落ちたんだから受け身取ったってば。』
『……たんこぶできてる。』
『泣きそうな顔すんな！！笑い取れたんだからっ。』

あー…心配症は心配症だな。タマにはね。

……過保護とも言うんだけどさ。

fin.