I need you！ vol.2 (ページ1)

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It's Alright！ Ⅱ T ページ1

宮田は王子様になった。

《俺、王子様になるから…》

昔、俺に誓った言葉がどんどん現実味を帯びてきて、ファンの間では定着し出したけど。それでもやっぱり世間的には《ヲタクの宮っち》。お笑い枠１０年の時を埋められずにいた。

ヲタクでありながらも王子様。
相反するかのように見える２つの概念の谷間をどう埋めるのか。
その答えの一つが、今回のソロ曲、そのMV。
二次元のアイドルプリンスと三次元アイドル王子のコラボという、ずっと宮田が口にしてきた構想がようやく形になったの。

生配信で全員のソロ曲のMVを観ながら、各MVを解説し感想を言い合うという場で、俺は涙を堪える。

何度も宮田が協議を重ね、コラボ相手のプリンスとそのファンに敬意を払いながら作られた、綺麗な紫色のMV。作詞も宮田。
その中で宮田は美しく気品のある姿で、カッコ良く踊り、切ない顔で優しく歌い上げた。

それは、確かに王子様だった。

……長かったね。
あの日の夢をまた一つ叶えたね。

俺が王子様にしてやると誓ったあの日から、一体何年経ったのだろう。
何度も諦め、何度も泣いて、何度も宮田は前を向いた。

結局、お前は自力で王子様に辿り着いた。

……お前はその涙を、俺にちゃんと分けてくれてたのかな？

自分の涙を耐えて顔を上げる。
今回MCのワタが、俺にコメントを振ってきた。

『どうですか、タマさん？』
『《THE 王子様》だったね～！』

俺の王子様が、他人にも王子様になったんだ。

『惚れ直したんじゃないですか？』

惚れ直したに決まってんじゃん！！
カッコ良すぎて泣いてんだよ、こっちはっ。

一曲丸々、宮田がずっとカッコイイ。
それが許される日が来た。
それを許されるまでに、宮田が歩んで来た道のりを思い出すと、また泣けてきちゃう。

『タマもプリンス様に嫉妬しちゃうんじゃないの？』

ミツがパスを投げてきたから、涙を引っ込める為にも打ち返す。

『そりゃ妬いちゃうよね～！』

宮田はただ照れていた。あら可愛い。

まあ、妬いちゃうわ。
俺が王子様にしたかったのに、結局助けてくれたのは、宮田が愛してやまないアニメ界のプリンスだったんだから。

ねぇ？俺たち2人は完璧じゃないから、きっとまだまだ泣くことはある。
だけど、王子様じゃないお前もちゃんと俺に分けてね。
悲しみもどんなに小さな幸せも、全てをお前と分かち合えるのは俺だけだから。

君の隣で並んで歩くのは俺。
それだけはどんな王子様にも譲らないからな。

fin.