One Pair XI T ページ9
今日は押し掛け女房しました。
俺もなんやかやあるけど、とりあえず今はお休みなしで宮田が頑張ってるから、ご飯くらい作ってあげようと思って。
また、冷凍の唐揚げレンジで爆発させて、チョコ食べて満足してるらしいし。
それで健康なら構わないの。
でもこないだ、７人でお菓子を食べまくる企画をしてた時、宮田は顔が青くなって、そっとトイレで戻したりしてた。胃にストレス溜まってるのかも。
筋トレしてたから、タンパク質はやたら摂ってるらしいけど。
『朝、ヨーグルト食べてるよ？バナナチップ入れて！腸が元気なら大丈夫。』
ん。それはいい。ただ。今のお前の運動量半端ないからな？タンパク質だけじゃ保たないぞ？
ま、俺もお菓子生活復活してたから、たまにはね。
メニューは、前に宮田が好きって言ってくれた金目鯛の煮付けと小さいオムレツ、野菜が多めのマカロニサラダ。ご飯はお粥。精が付くって聞いたから、インスタントでしじみのお味噌汁。
煮魚とサラダは家で作ってきた。
俺もそんなにお料理にこだわりはないけど、マカロニサラダは宮田の好物で、お母さんが連日ハードスケジュールだったジュニア時代によく作ってくれてたんだって。
共働きだからお母さんもお疲れだったのに、どんなに疲れてて先に寝ちゃってても、遅く帰ってくる宮田の為に作っておいてくれたらしい。
勿論、宮田のお母さんの味には負けるの分かってるけど、疲れきった頃だから一発奮起してもらおうと思って作っちゃった。
お姑さんとの思い出の味を作るのって緊張するよね！お嫁さんて大変。
だけど、宮田は味を比べて文句を言うような、ちっちゃい男じゃないもん。
そこはなんと言っても俺の旦那です。
ちゃーんと俺が込めた気持ち分かってくれた。
『えっ！？何、ご馳走！！』
『お前…俺の作ったご飯見たら、必ずそれ言うよね？あ、サラダはたくさん作って、冷蔵庫入れといた。
……お母さんの味には及ばないとは思うけど、ちゃんと食べてよ？』
言い訳しながら差し出した深鉢いっぱいのマカロニサラダを、宮田はじっと見て、それから涙でうるんだ大きな瞳を上げた。そして……
『ありがとう、タマ。』
って、嬉しそうに笑ってくれた。あんまり嬉しそうだったから、俺も嬉しくて照れちゃったぜ。思わず肩パンしちゃうよねー。
まあ、たまにはね。
美味しいもの、２人で食べよう。
生きることは食べて寝て愛すること。
今夜はしっかり抱っこして寝てあげるからね。
fin.
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作者名：みあん | 作成日時：2021年5月11日 23時
