ドンブリは正義。 ページ38
こくりとお父さんがこおひいをひと口。
キツネさん…いやトシコさんはみるくをひと口。
そして僕はトシコさんのお膝の上でちょっと緊張しています。
てえぶるの向こう側でワイワイしているみんなとは対照的に、こちらはとってもお静かです。
……むむぅ〜。
やっぱりお元気ないなぁ、お父さん。
さっきの式神さんの代償のお話から…。
いつものお父さんなら、笑い飛ばしてしまうのにね。
どうしても笑い飛ばせない何かがまだあるみたい。
きっとそれは……。
どうも、長らくお待たせいたしました。ドンブリです。
タマさんとミヤタさんがタヌキチさんをひとくふう荘のりびんぐにお連れしてから時計の長い針はもうひと回り。
僕たちを待っていたみんなは、さっきまで戦っていたお相手がタマさんの式神さん第1号になったと聞いてびっくり仰天。
最初はおっかなびっくりでしたが、ご陽気でぽんぽこなシン・タヌキチさんのご様子にだんだん疑いのお目目も晴れて、あれやこれやと質問攻め。
タヌキチさんもヨコオさんが繰り出すおやつの数々にすっかりご満悦です。
『いやぁ〜、美味しいわぁっ!何ですのん、このほっとけえき!!ほわほわふかふか優しい甘さ!小麦粉もええのん使てはりますなぁ。お口に入れた瞬間ほろりとほどける口触りと風味!配合の妙ですな〜!
焼き具合も最高や。見て、このキツネ色!タヌキ代表としては悔しいくらいの福々しいお色やことっ。え?もしかしてしぇふは天才やあらしまへん??』
『いやぁ〜、それほどでも〜っ。こんなに的確に褒めてもらえると嬉しいにゃあ…タヌキチくん、クレープシュゼットでも作りましょうか?オレンジソースといちごソース、どちらがおしゅき?』
『くれえぷしゅぜっと!!そんなんいただけますのん!ここは夢の国ですか?それともわしが夢見てますのん?え?わし寝てます??』
ヨコオさん、ここのところ見たことないほどてんしょん上がってます。ひぃ〜とかほぇ〜とか鼻唄混じりにお台所でいろんなおやつを作り出しちゃって。
『…芸能人も真っ青の食リポの上手さ。』
『《美味い》だけじゃダメなんだな。』
『縁起物が幸せ運ぶってこういうことか。』
『なるほど。ああ言えばいいんだ?』
『ニカはまず料理の名前を正確に覚えるところから始めんとかんよ。』
……んと〜。僕はお煮干し掛けカリカリご飯でいいです〜。お腹空いたぁ。
と、僕のお声が聞こえたようなたいみんぐでタマさんがカリカリご飯を持ってきてくれましたっ!
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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月23日 0時