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『アヤカシの記憶を探る?』
『おじさんは宮に龍の記憶が入り込んでいることも既に知ってたって言ってたな。霊感とかじゃなく、《たま》の力なんだ。』

ニカさんが長い腕を組み、椅子の背に凭れて考え込んだ。

『じゃあ、俺やミツがやたら霊感強くなったのって、《たま》のそばで生活してるからってことか。』

『でも、《たま護り》でなくてもできそう…というか、人間じゃなくてもその役目できそう。』
『そもそも、神様が《たま》を管理すれば狙われにくいんじゃね?』

口々にみんなが疑問を言い出すと、トシコさんはお首を傾げながらもお答えを導き出していく、


『私はこれまで見聞きしたことから推し量ることしかできぬけれど、《たま》のそばにいたお前たちは確実に感覚が磨かれ、身体の能力も高まっているように見える。
ニカイドウの言う通り、アヤカシの声や姿を認識できるようになってきたのは、私が憑依を重ねてきたからとともに《たま》の影響を受けているからだと思うよ。
それにお前たちの中に溶け込んだ記憶が素質となっている。』


それを聞いたキタヤマさんがトシコさんを2度見する。

『…記憶が素質…ぅえええっ!?俺とニカにもなんか特殊なもんの記憶が溶けてるってこと??』

『龍みたいな?!ヤッタ、カッケェ!!』

キタヤマさんは椅子から落ちそうになり、ニカさんはがっつぽおず。
そして一所懸命めもを取っていたクラタさんも、お顔を上げておっきなお声を出した。

『待って!俺も何かあるんですかね?俺はココで暮らしてないんですが…。』


『クラタはやはり《記憶》が呼び起こされている。さもなければあんなに簡単にいにしえのアヤカシの声は聞けぬ。その《記憶》はかなり神の代に近いモノの記憶…。
いや、クラタに関しては後ほどゆっくり話そうか。《記憶》を辿るならタマモリのほうが得意だし、トシコにも関わるかもしれないから。

それと《たま護り》が人に任されたのは、人のほうが細やかに生きるからだろうねぇ。
神様方や精霊や霊獣はこの世も違う世も長く見てきている。そうなればどうしても個の心の動きには疎くなる。
目線が違うのだ。大きな視点、長い時間の全体的な動きで見れば、個の感情など一瞬のものだもの。
だから《たま》を隠すのも人間のほうが上手に隠せる。細かいことまで気が遣えるし、神様が持っていては力の差が無駄に和を破ることになる。』

ふうと溜め息をついたトシコさんが、またこっぷを手に取った。

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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月23日 0時

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