ひとくふう荘14 (ページ20)

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センガさんが意識を失ったミヤタさんにかがみ込みちょんとつつく。

『これで龍さんはまた宮っちに戻るってことか…。』

次にリュウさんが表に出てらしたらお訊きしなきゃいけないことがたくさんあります。
特に、お父さんのこと…。

タマさんはそばに置いてある毛布をミヤタさんのお身体に掛けてあげた。

『…なんか意味深だったな。何？龍さんと何かあった？』

タマさんはニッコリとキタヤマさんに答える。

『またキスした〜。』

…………っ！？？

『…はぁっ？』
『え？！首輪付ける為だったんでしょ？？』

『んにゃ。起きたら居たからおはよう代わりに。首輪…？あ〜、それもカウントしちゃう？』

タマさん？！
あ、あんなに不倫したくないって喚いてたのに？？

全員びっくり仰天、キョウテンドウチ。

『…いやまぁ、何つうか。お礼？助けに来てくれたらしいからさ〜。んで、ずっと寝てる俺についててくれたっしょ。忠犬みたいで可愛いなと思って。』

いやいやいやっ！お礼のお口ぺたり！？
てか、最後のお言葉には異議アリです！
ぼ、僕だって忠犬だもぉぉぉんっ！！！

僕もタマさんにお口ぺたりされることはある。
でもでもお口ぺたりってもっとこう…僕愛されてるな〜って感じる大切な行為なんでしょ？タマさんがみんなにする訳じゃないもん…。
…はっ！！ま、まさかリュウさんにタマさんのわんこの座を奪われる？
そりゃ《おあずけ》の指示を守ってじっと耐えてるリュウさんは、確かにわんこみたいだったけどぉぉぉ！！

『ど、どうなってんの！』
『お礼のチュー？お前はふじこちゃんかっ！』
『宮から龍さんに乗り換え？』
『いや、流石にそりぇは…。』
『分からんっ！さっぱり分からん！』

『…横尾くん、コーヒーくれるか？』

僕たちが慌てているのを知ってか知らずか、お父さんは静かにてえぶるについた。

『は、はえ！』

言われたヨコオさんは腕まくり。
それまでの雰囲気とは打って変わって、いきいきと流れるような動きでお台所を動き回る。

『裕太…龍にどこまで聞いたんや？』

……落ち着いたお声。
それに対して、タマさんは明るいお声で答えた。

『え〜とね。俺がたぬきちに体当たりされて頭打ったみたいだから、まだ頭痛がするなら病院行けって。あとはみんなが畑に行ったとか…あ！タヌキチの徳利をちゃんと管理しとけってさ、』

『…それだけか？』

『他に何があるの、じいちゃん？』

お父さんとタマさんがお腹の探り合いをしてる…？