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お父さんもみんなも、そんなタマさんを哀しそうに見つめてます。
誰も何にも言えなくてお辛そう。


………たった1度の人生を如何に生きるのか。


タマさんはみんなにそんな難しい命題を優しく投げかける。


『…んはは〜!えと〜、簡単じゃないよねっ。ゆっくり考えて?
あ、俺はね、今は楽しみだから大丈夫!スタイリスト兼《たま護り》とか、どんだけおもろい人生なんだって話でしょ?足は遅ぇけど、逃げ足は速いからね〜。

さぁ、じいちゃん?俺たちはそっちのキッチンで話そっか。…あ、勿論ガヤも考えなきゃだよ?《たま護り》って血筋とか関係ないんだって。継げそうな人がいればお願いするんだったよね??
てことは、ガヤも自分の道歩いていいの。たまには従兄弟の誼みで無理矢理手伝わせるかも知んないけど、しゃかりきにこんなことに集中しなくていんじゃね?
…ね、ドンブリ。お前はおいで。キツネさんも椅子持ってきてね〜。』

タマさんは勢いよく跳び上がり、てえぶるの椅子を片手に流し台へとふわふわ歩いていった。


……もぉ!!タマさんのうそつき〜!
泣きそうなくせに笑ってる。てれびの中の俳優さんみたいに、ご自分のお気持ち隠してお上手に笑うんだね。

コレはタマさんの哀しいひと工夫。
《俺1人でも大丈夫だから、みんなは自分の命と生き方を大切にしてほしい》って平気なフリ。

でもね、タマさん…その平気なフリのほうがみんなには痛々しいんだよ?


困ったなぁ…コレばっかりは何のひと工夫もできないや。
だって、確かにこれはみんなの生き方を左右する大事な問題です。

お仕事に行っても僕やキツネさんで対応できないような強いアヤカシさんが来たら帰ってきてもらわなきゃいけないかもしれないし、夜中だとしても次の日のお仕事できなくなっちゃうし、きっと一生こんなことを続けてられないもの。
それぞれの生きる道を僕たちがお邪魔する訳にはいかない。

それにキツネさんだって、いつでもすぐ来られる訳じゃないし。


僕はチラッとトシコさんを見る。
流石のキツネさんも黙ってみんなのお顔を見てるだけ。


……ねぇ?キツネさん。キツネさんもお仕事あるもんね?僕たちに…僕のことばかりにいつまでも関わってられないよね??
どなたか…お父さんみたいに式神さんを見つけてお仲間になってもらうまではタマさんのお手伝いしていただける?
そしたら…後は僕頑張る!

『吾妹子、私は…。』

トシコさんが何か言おうとした時…。


『……待った。』

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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月23日 0時

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