ひとくふう荘14 (ページ12)

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タマさんのお手手が、そうっとミヤタさんのお手手に重なる。
まるで《オテ》みたい。

『ま、継ぐって決めた時はまさかミヤっちの中に龍の記憶があるなんて思わなかったし、俺たちのひいじいちゃんが《たま》のせいで死んじゃったとか、今までのアヤカシより怖そうなのがいるとか全然考えてなかったけどさ。
河原じゃじいちゃん１回死んでたし、流石にビビってる。ヤッベぇこと引き受けちゃったな〜ってさ。

…でもね、宮田さんがずっと一緒に生きてくれるなら、俺何でもできんじゃねーかなって…まぁ…そう思った。

それにさ、言葉は悪いけど同じ目標があると喧嘩したりしても離れられないじゃん。しかも仲間のうち２人が《たま》に関係してたらみんな絶対手伝ってくれっかなぁとか。』

へへへ…と悪戯っぽく微笑むタマさんは、ちょっと打算的に見えるけど。
それは多分無意識の確信。
《たま護り》という仕事が７人の新たな絆になるという予感。
みんなのことが大好きで、みんなのことをよく見てるタマさんだからこそ辿り着いた結論。

それでもタマさんはミヤタさんのお手手を握りながら、みんなのお顔を１人ずつ見遣ってこう言った。

『…だけど、じいちゃんの話聞いてたら、そんな簡単なこっちゃないなって…で、まずみんなに言っときたいんだよね。せっかくみんなで住みたいなと思ってこの家リノベしたけどさ、こんなややこしいことになってさ、もし出て行きたいなら止めないよ？出て行っても恨んだりしない。だって当たり前じゃね？それぞれお仕事あるし、生き方変わっちゃうもん。

あー、じいちゃんには冷たいかもしんないけどね？
俺がやらなくても誰かがやってくれるならね、俺もスタイリストに掛ける時間を割いてまで継ごうなんて思わない。
それにさ、俺ってあんまりみんなの真ん中に立つタイプじゃないでしょ？どセンターでみんなを引っ張ってくとか無理なほうじゃね？頼りないと思うんだよな、どう考えても。』

………ミヤタさんのお手手を握るお手手が少し震えてるよ、タマさん？
怖いね？みんなと離れたくないよね？？
本当はお気持ちが離れちゃうのはヤダよね？

『だから、俺に流されなくてもいいし手伝わなくてもいいし出て行かなくてもいいから…みんな、ちゃんと考えて。宮田も…聞こえてるんだよね？ミヤっちも龍さんも…もっと考えなきゃ。』

すっかり静まり返ったお部屋の中、タマさんは思わず下を向いちゃって…。
それからゆっくり宮田さんのお手手を離した。