ひとくふう荘14 (ページ2)

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僕、ここにいるよ？？と思ってたら…

いきなり畑の真ん中の土がボコンッと盛り上がった。

『…シャアァァァァッ！！』

威嚇音とともに中から飛び出してきたのは、そう、いつも僕たちの訓練相手をしてくれるツチノコさん！
その勢いでぴょんぴょんと飛び跳ねながらこちらに突進してきます！

んと、今日はネコタマさんいらしてないんだけどなぁ。相棒さんなしで訓練したことないけど〜。
…ま、いっか。トドメは刺さずにお帰りになってもらうくらいならなんとか…。
んじゃ、ちょっと失礼して訓練してきまーす。

と、僕が走り出そうとしたら、お父さんが慌てて僕の首輪を掴む。

『ちゃうちゃう。ドンブリ、俺がお呼びしたんや。害はあらへん。』

………はい？《お呼びした》？？お父さん、ツチノコさんとお知り合い？

よく分かんないうちにどんどんツチノコさんが近付いてくる。
みんなもどき.どきです。心臓の音がツチノコさんとの距離に合わせてどんどんおっきくなっていく。

『うわ、ツチノコ…てか、毒あるんだよね！？』
『に、逃げたほうが…。おじさん？』
『や、ヤバくね？ちょっと…！』

あ、ニカさんとヨコオさんが後ろに逃げた。
…分かります。今僕もどうしようか迷いました。
でも、でもお父さん守んなきゃ…！

『ゔぅ〜〜〜っ！』

と、とりあえず唸る！
僕ひとりだってやるぞ、やっちゃうぞっ？

でも予想外！！
僕が唸ったその時、ぐんっと勢いつけて跳んだツチノコさんは、一気に僕たちの上を飛び越えて、真っ直ぐお父さん目掛けて飛び込んでいったの！

『おじさん、危ねーっ！！』
『じいちゃんっ！』

構えていたキタヤマさんとガヤさんが慌てて手を出したけど…次の瞬間、僕たちは自分の目を疑うことになる。

『……え？』

ぅえええええええ〜〜〜っ！？

なんと、ツチノコさんはお父さんのお膝にどすんっと落ちたかと思うと、何故だかぐるぐるぐるぐるスゴい速さで横に回転し出したの！

『イダダダダッ！ツチ媛はん痛い！痛いてっ。』

ツ…《ツチヒメ》はん？？？

お父さんが痛がるとツチノコさんはぴたりと回転するのをやめて、お腹を上に向けてごろん。
こ、これはまさか……《撫でて》のぽおず！？？

『もぉ…ツチ媛はんは甘えんぼやなぁ。はいはい。分かった分かった。』

破顔一笑。嬉しそうに笑い出したお父さん。
ツチノコさんのお腹を両方のお手手でくすぐるようにナデナデ。

『………ど、どういうこと？』
『嘘だろ？何、この絵面…。』