Why? Y ページ41
『俺とワタもSNSしたほうがいいの?』
太輔の疑問に、宮田が携帯から顔を上げた。
『慣れない人が生半可な気持ちでSNS始めたら痛い目見ちゃうよ、ガヤさん。』
『マジ?』
『自由ってさ、めっちゃムズイの。』
意外なほど真剣な声だ。
タマ、宮田、千賀とニカは既にSNSを始めてしばらく経つ。
自分の言葉や方法で自分をアピールできるSNS、つまりは宣伝もできて新しい仕事にも繋がる。
これも以前ならできなかったことだが、なんだか俺には敷居が高く感じていた。
宮田はデビュー前からヲタクの掲示板や動画サイトを見ていたのである意味ネットに慣れているのだが。
『SNSって誰でも見られるから色んな立場の人からの意見が出てくるし、悪意も善意も混じり合って混沌としてるの。俺たちが変に攻撃受けるとファンも傷付くし。
だからアイドルとは何か。自分の思う規律を自分で守らなきゃ…かと言って防御だけでも目立たないんだけど!』
【自由】…それはつまり限界やセーフラインを自分自身で見極めなければいけないということ。
誰かが決めた枠は窮屈かもしれないが、俺たちを守る盾でもあった。自由とはその盾と剣を使う術を自分でプロデュースすることなのだ。
『…俺無理かも〜!』』
ネット音痴の太輔が溜め息をつく。
『俺もまだよく分かんない。でも慣れたら楽しいよ!タレントさんとの繋がりも広がるしね。それにさ、ファンって俺たちより俺たちのことよく見てくれてるじゃん?自分の良いとこも分かるし分析もできて、褒めてくれてたらやる気も出るし。何よりファンと繋がってるなぁって思うの嬉しい……
あ、それとさ〜。』
それから宮田は、いんすたのスタッフと打ち合わせ中のタマをまた片肘ついて眺め出した。
『タマのことも教えてくれたり…ね。んふ。』
……タマ??
『俺の顔ずっと見てるタマとか、俺の言葉に反応するタマとか、俺の知らないとこで俺のこと話してるタマとか…俺が気付かなかったタマの【恋してる顔】いっぱい教えてくれるの。』
宮田は嬉しそうにふんわり微笑んだ。
1秒たりとも自分の推しから目を離さないファンならではの気付きがあるってことらしい。
『……何?』
ふと、俺たちの視線に気付いたタマが目を瞬く。
『別に〜!』
『は???』
3人でニヤニヤしながら答えると、彼は眉をキュッと顰めた。
まぁ、SNSも使いようってか。
ファンと俺たちの生き方を豊かにできるような使い方、太輔と考えてみようかな?
Fin.
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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月21日 0時