When？ K ページ27
昔のライブ見ながら宮っちが言った。
『俺たち、今見てもカッコイイよね！』
当たり前だろ？
カッコ良さを追求する道は死に物狂いの修羅の道。
誰に分かってもらえなくとも。
事務所入ったのは高校の時。小さい子に先輩面されて面喰らった。
このグループ結成した時も、最年長でありながら後輩という立場にモゾモゾした。
それでもがむしゃらにデビュー目指して、喧嘩もして、笑い合って…気付けば、メンバーは家族以上に運命共同体になっていたし、俺はココが大好きで仕方なかった。
だけど。
《事務所開くから。》
久しぶりに来た瀧さんのメールは簡単なもの。
なのに俺の気持ちを揺さぶるには充分で。
《お前、燻ってんなら来いよ。》
彼には俺が燻って見えていたのか。
チームを立たせる為に我慢してきたものがあるだろと。
俺が目指していた俺はまだ遥かに遠い。
それなのに、年齢は止まってはくれない。
大きい箱だからこそ足並みを揃えて、上部の一声に従わなきゃいけない。慣例をぶち破るにはかなりの時間と労力が掛かる。
まずはチーム優先に戦う。それが当然で自分のことは二の次だった。
で、ふと思い出した。
大好きなサッカーを捨てて、芸能界に飛び出した時を。
俺は俺の人生を生きているか？
人に《勇気を持って飛び出せ》と歌いながら、俺は現状維持を良しとするの？
……飛び出すとすれば、今しかねー。
例え我儘と言われようと。
全てかなぐり捨てるには苦労しすぎたけど…。
ついてこいと言うにはチームは大きくなりすぎたし、勿論俺のほうがダメになる可能性も高い。
そこに彼らを付き合わせる訳にはいかない。
『でもさ、やっぱり今の俺らのほうがカッコイイよ。』
宮っちはちょこっと照れつつグラスを口に当てた。
『色んなこと乗り越えてきた大人の色気がさぁ。』
そうだな。
それは俺たち７人にしか分からない道のりだった。
『……んふふ。俺たち、北ミツよりもっと色気出ちゃうわ。』
楽しそうな声が心地良い。
『俺だって新事務所の新人だかんな？』
『んじゃ、どっちが色気増し増しの大人になれるか競争？こっちはガヤさんいるからね！』
そうだ。この賭けは俺だけじゃできない。
彼らは俺の賭けに乗ってくれたんだ。
『…じゃ、脱ぐわ！』
『どんな写真集出すつもりだよ？！』
世界は広くてまだまだ知らない光に満ちている。
いつか俺たちの道が再び重なり合う日まで…。
ともに行こう。別々の修羅の道を。
fin.
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作者名：みあん | 作成日時：2023年1月21日 0時
