I need you！ vol.4 (ページ17)

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Wao…！ N ページ17

『ニカ、この日は夜から事務所で会議…でいいの？』
『はい。お願いします。』
『昼間でもみんな集まれるみたいよ？』

『いんや！！その日は夜からでっ！！！』

『……あ、そ、そう？分かった〜。』

演出さんとのやり取りを見ていた宮田がくふりと笑う。

『もしかして千ちゃんの個展？初日前に絶対行きたいんだね〜。』

……当たり前だろっ。
千賀の男としての見せ場だぞ？
人生変わるくらいの大舞台なんだぞ？

俺が最初に行かずに何とする！！

必ず最初に行くと約束したもの。
誰が何と言おうと、アイツのファン第１号は俺しかいないでしょ？

千賀が絵を描くの上手いってのは知っていたし、コロナ禍になってから本格的に描き始めたのも知っていた。
うちのライブなんかでもメインヴィジュアル描いてもらったりしてたけど…。
時々仕事の合間に描いているのを見せてくるアートを見れば、見る度にめきめき上手くなっててびっくりする。
何ていうか、アートのことに詳しくない俺でも分かるほど線がどんどん丸くなっていくというか、迷いがなくなっていくというか。

自信を持ち始めた千賀は無敵だ。本来の器用という才能に加えて努力という経験に柔軟な感受性、細やかな心配り、そして理屈が伴って美しく開花する。
今回のアート展はまさにそれだと思う。

開催する場所の雰囲気でイチから組み立てて製作されたアートたち。見る人の気持ちも取り入れたキャラクターや展示は、きっとアイドルとは思えないほどこなれたプロデュースのものであるに違いない。

……それでも、爆発的な才能開花にはあと数ミリの自信の無さがあることも事実で。

その距離を縮めたのはメンバーだった。
あちこちで千賀のアートがスゲェとか、個展が観たいと言葉で表現してきたし、今年の上半期はとにかくソロ活動を強化してきたけど、そこにはきっちりと千賀の為の製作時間が確保されている。
そうやっであと１ミリのとこまで来た。

そして、最後のその１ミリは俺が背中を押してやる。アイツがいつも俺の背中を押すように。

俺はまごうことなくアイツの相方だから。
ずっと一緒にやってきたんだから。
俺が背中を押す。んで、見届けるんだ。必ず。

『初日前の関係者招待ってグッズ買えるのかなぁ。ニカ、お金渡すから買ってきて？』

『それは買わんっ！』

『なんでっ？？』

だって……俺が千賀のTシャツとか買うのは流石に違くね？

fin.