What？ F ページ14
『ぅええ〜い。』
『うわっ！怖い怖い怖い！いきなり背中乗ってくんな。』
『ぅえ〜い。』
リハ室ど真ん中でいきなり俊くんにおぶさったタマ。
『…タマの立ち位置何処？』
『そこ。その黄色の線の…。』
…で、それを優しく受け入れて、自分よりデカいタマをダンス開始の立ち位置まで運ぶ俊くん。
………アラヤダカワイイタクシー。
タマを降ろした俊くんに俺も飛びつきたくなっちゃう。
『俺もピンクまでっ。』
『いやいや、俺汗だくだし！』
『宮田交通…。』
『ちっ、乗車拒否された。』
分かってます。俊くんの背中はタマのもの…残念。
俺もたまにはあれだけ全開で甘えてみたいけどさ〜、ダンスで汗だくのあの背中に密着するのを許されるのはタマくらいなんで仕方ないか。
しがみつくように俊くんに身を委ねるタマは、どう見ても甘えてスキンシップを求める大型犬だ。
ああ、可愛い。
とかウキウキで踊ってたら…。
ん？視線を感じる？？
チラリと視線の主を確認すれば、そこには俊くん。
ダンスしながらチラチラと俺のほうを見ていた。
え？今日の俺、そんなにカッコイイ？？
……はっ！！待って？ヤバい！
いやいや、そんな熱い視線を俺に向けないで！
そうっとタマの方を盗み見ると…ほれ見たことか。冷めた目つきで俊くんを見てんじゃねーか！
ヤダコワイ〜っ！！！
『…ちょ、ガヤさん！腕時計新しいの買った？？』
そんな俺の焦りを知ってか知らずか、休憩に入った途端、興奮を抑えきれないという顔で俊くんが駆け寄ってきた。
『ああ〜！時計か……よ、良かった。』
『見せて見せて！』
あの熱い視線は俺の腕に注がれとったんかい。
焦ったぁ！惚れられたかと思ったぁぁぁ。
そか。実は俊くん、腕時計好きなんです。
確かゴツいフェイズの高級時計が好きだとか。結構マニアなんだった。
『自分のご褒美に買った〜。』
『おぉぉ…っ！限定もの〜っ。うわ、この文字盤カッコイイ！！』
差し出した俺の左腕の腕時計を覗き込み、目を少年のようにキラキラさせる俊くん。
…か、可愛すぎんか！
だけどその時、鋭く斬り込んでくる一声が…。
『おい、宮田っ！お前の汗で床滑る！！』
『はい！すんませんっ。』
突如ガキ大将となったタマが、さっきしがみついてた背中にドンとワンパン入れる。
それでも俊くんは汗を拭きながら何故かニコニコと笑っていた。
これがほんとの《ハマる男に殴りたい男》。
……ま、ヤキモチも可愛いんだけどね？
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みあん | 作成日時：2023年1月21日 0時
