Why? M ページ13
『…で、《宮っち、振付教えて》って話しかけたら《あ?宮田くんだろ》って。』
『…思春期だったの。』
『まさかの宮田くん思春期だった。』
ライブの食堂でメイキングのカメラさんに、また俺たちのファーストコンタクトの話をするタマに思わず苦笑い。
…だってさ、あの頃は本当自分に自信なくて。デビューに近付いていく同期とか見てるとガッカリすることだらけの日々だったんだもんな。こんなんじゃ歳下の後輩にもバカにされてんじゃないかって疑心暗鬼でさ。
初めて話しかけてきたタマにまであだ名で呼ばれたからつい虚勢を張りました。はい。
てか、これライブのメイキング撮影のカメラさんなんだけど…この話、ファンなら聞き飽きるほど聞いてない?
……ん〜。せっかくだから何か初出しのエピソードしちゃおっかな。
『…俺スッゲぇ憶えてんのがさ、タマが高校入ったばかりの頃、2ヶ月くらい舞台やってたじゃん。でさ、まだネクタイ結べなくて…俺が結んであげたの憶えてるわ。』
んふふ。どや?照れるでしょ??
流石のタマも苦笑してる。
本当はこの話には後日談があって、タマの本当の可愛さはこの後日談にこそ詰め込まれているんです。
でもそれは俺だけが知るタマの可愛さ。
ファンも知らない俺だけの可愛いタマ。んはは。
それにしても、あの時のネクタイ結べないタマ可愛かったなぁ。
長いこと鏡の前で巻いたり解いたり何度もしてるなと思ったら、俺の制服の端捕まえて《宮っち、ネクタイ結んで》って…結んでる間も顔真っ赤にしてたよな。
もうめっちゃ可愛くてさぁ〜。抱き締めたくなっちゃって…。
…なんて思い出しながらニヤニヤしてると、タマが口を開く。
『…誰にも言ってなかったんだけど…。』
あれ?まさか自分から爆弾落としちゃう?
『そのネクタイさ、高校3年間1回も解いてない。宮っちが結んだまま使ってた!』
その後日談言っちゃうか〜っ!?
それ、いくらファンでも結構インパクト強すぎね?
当の俺でも、知った時はあまりの可愛さに悶えまくったのに。
俺が結んだネクタイ3年間そのまま使うって、どんだけ宮田を好きなの?ってまた言われるぞ〜。
『……ま、もう捨ててあるけど!』
平然とご飯をかき込むタマ。耳は赤いけどね?
それはタマのクローゼットの中、きちんと紙袋に入れて《捨ててある》高校3年間の思い出と俺たちの恋…。
簡単には解けない2人の絆は、ずっと固く結ばれ続けている。
fin.
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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月21日 0時