Why？ M ページ11
《…好きになっちゃいました！》
タマの映画の舞台挨拶のこと。
タマが照れながら共演者さんに笑いかける。
これはきっと共演者さんのみならず、映画公開初日挨拶に来ていたお客さんの心も掴んだに違いない。
……ん。今のはめっちゃ可愛かったぞ！
個別の楽屋に遊びに来たタマにそんな話をすると、タマはちょっと照れながら唇を突き出した。
『お前が《好き》ってめちゃくちゃ言うじゃん？メンバーにもスタッフさんにも。《好き》って言われて悪い気になる人いないからいい言葉だなぁって…いただきました。』
《好きになっちゃった！》
言われてみればよく言ってる気もする。
『でも濫発しすぎて相手に勘違いさせんなよ？』
唇突き出したままタマが拗ね出したから、嬉しくなってタマに肩をくっつけた。
俺が今度CMをやらせてもらうリズムゲームに悪戦苦闘してたタマは、知らん顔を決め込む。俺の携帯を独占しながら。
《好き》って何なんだろう？
人を《好き》になるってどんなことなんだろう。
恋じゃなくても《好き》はある。
この人はいい人だとか、懸命に頑張ってるとか、天然ボケで可愛いとか…。
だから見ていたい、何かしてあげたい、話したいとか思ったら《好き》なのか。
でも時々分からないのは《好き》なのに《気に食わない》って考える人がいること。
昔、《好きだけど宮田くんのファン辞めます》って姫が何人かいてびっくりしたことがある。俺が期待に添えなかったり、きつくイジられるのに我慢できないんだって。
《好き》って難しい。
俺ならもっと応援したくなるけど…理想通りにいかないと余計に見てられなくなるのかもしれない。
あの頃は、せっかく《好き》になってもらえたのに姫に申し訳なくて切なかった。
だから今は、全ての姫を幸せにする為に全力振り切ってます。
『そういえば、タマは誕生日に何が欲しいの？』
『…ええ〜？何だろ？？考えとく。』
気のない返事にふと考えた。
タマになら邪険に扱われても、悪戯されても、ゲーム邪魔されても、何でも可愛いと感じる。理想とは違っても。
ずっと一緒に歳を重ねていきたいと思う。
この存在を大切にすることが俺の幸せだ。
これはやっぱり《好き》とはまた違うんだよな。
『タマ…愛してるよ。』
『おま…っ！あ、リズム分かんなくなった！！もぉ……そんなの気軽に言うなよ！』
《愛してる》はタマと姫にしか言わないよ？
そう囁くと彼は真っ赤になって、やっとこちらを向いた。
fin.
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作者名：みあん | 作成日時：2023年1月21日 0時
