検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:10,885 hit

27 ページ44

リュウさんはタマさんを守る為に出てくるの?

『いや…トシヤの意識がわざと俺を引き出した。タマを助ける為にさ。この結界に俺なら出入りできると気付いてたんだろ。無意識か意識的にかは知らんけど。』

ミヤタさんは人間。よく分かんないけど守護獣さんならあの結界を出入りできるってこと?ロバさんやヤギさんは??
……いや、リュウさんはご自分でお水の檻を作れる方。つまりご自分で結界を作ることのできる方だからかもしれない。
となると、タマさんと僕がさっきお花の檻を抜けてきちゃったのは何故だったの??


気付けば、ロバさんヤギさん、モモさんのお手伝いもあって100匹にも増えていたマメダさんたちの灰色の液体がすぐに溜まってきた。

残るはあと1匹…壊された窓枠にしがみついて震えてる。

『こっちの液体は燃やしといて。』
『あ?……何だと??』
『ロバ、やめなさい。』

タマさんを担いだままのミヤタさんに飛び掛かりそうになったロバさんを、ヤギさんが抑えた。

『俺はタマさえこの手に戻ればいい。こっから先はあんたらに任せる。
あー、そこの子鹿みたいに震えてる古狸?言っとくけど俺ならさっさとお前を消し去る。タマに手ェ出そうとしたからな。問答無用だ。
でも、コイツらはお前の言い分聞いてやるってよ。お優しいこった。せっかくだから言いたいこたぁ全部話してから消えな。仏があんたに遣わしてくれた最後の慈悲がここにある。縋れ。』


《仏ノ…慈悲。》


窓枠を掴んでいたマメダさんが、ハッとお目目をおっきく開けた。
ミヤタさんは無味乾燥としたお声で淡々と言う。


『そうさ。ぶちまけろ。お前は狸の身体に入り込んでアヤカシの力を身に付けたただの記憶だ。本体のお前は里に下りて嫁でも貰って、修行で得た忍耐と後悔を幸せと変えて上手く生きて死んだだろうな。
その後悔に満ちて捩じくれた、ただの《仏を愛した記憶》を救うのは《仏に愛された記憶》しかない。
……今こそお前はそれを感じるんだ。とくと愛されろ。』


そう言うと、ミヤタさんはくるりと踵を返してタマさんを担いだままお花の檻に近付いていく。
そして、まるでそこには初めから何もなかったかのようにお花の檻をすり抜けた!

お花の檻の向こうでタマさんに駆け寄るみんなの姿が見える。ミヤタさんはそれにも構わず、タマさんとともに階段の下へと姿を消していった。


《仏の慈悲…私にも仏は慈悲を恵んで下さるというのか。》

お声が変わった。これが本当のお声…?

28→←26



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
設定タグ:宮玉 , 玉宮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みあん | 作成日時:2022年11月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。