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『…あー、ガヤ?全く壊せないからお札貼ってみた。そっちから見てどぉ??……お!タヌキチがビクビクしてるって。もっと貼ろうぜぃ。』

タマさんがモシモシ片手に紙袋の前にしゃがみ込んだ。

タマさんはお札出す係。
センガさんがせろはんてえぷ付ける係。
ミヤタさんとキタヤマさんはトックリに恐る恐るお札を貼る係。
ニカさんが監督する係…。

『あ〜、ミヤ、その右っちょ空いてる。ミツ、剥がれそうだぞ?もっとしっかり貼って!』
『……監督要らねーな。』
『おお〜っ。かなり効いてるんじゃない?触ってないのにコイツめっちゃ揺れてる!』

確かに。ジハツ的にトックリがコトコトと揺れています!
不思議不思議〜っ。


隙間なくお札やお守りでトックリを埋め尽くした後は、最終的にマネキネコさんもトックリの横に置いて完成です。

『うっしゃあぁ!どんなもんじゃーいっ。』

すると、早速ピロピロ〜っとタマさんのモシモシが鳴りました。

『あ、電話来た。もしもし………はぁっ!??』

もしをお耳に当てたタマさんが、素っ頓狂なお声を上げる。


『……なんかタヌキチ…す〜んごい元気ハツラツとしてきたらしい。』
『はい??』
『なんでや?』


お目目ぱちくりというよりも唖然としてるみなさんと僕。

『……ええっ?お札が効かないってことかよ?!』
『…てか逆効果?』
『剥がせ剥がせっ!!』
『正月はさ、木のつるぎってので簡単に穴開けられたんだけどなぁ?破魔矢も効いたし。』
『これ健康長寿のお守りだからか?』


……待って待って?お札を貼ると元気になる?
それってほんとに所謂《魔》なのかしら??


………待って、みんな!

『わんっ!』

僕は、ビリビリしないようにそっとお札を剥がし始めたみんなに呼び掛けた。
お手手を止めたみんなが思わず僕を見た。

…あのね、タヌキチって《悪》じゃないのかもっ!

『《悪》じゃない?どういうこと??』

タマさんがお首を傾げた。


お正月にキツネさんがお祓いした時、《本体は信楽の地にあるが、付喪神としての霊はこの地に浄められるよ》って仰ってたはず。だから、ひょっとしたら…。

『でもアイツ黒いもやもや出てたよな?…ねえ?』
『ん。…って、タマ?ドンブリと話してんの??』

次はミヤタさんがお首を傾げたけど、タマさんはひらひらとお手手を振って続けた。

『ニュアンス〜。ドンブリがタヌキチは浄められたんだから、もう《悪いアヤカシ》じゃないんじゃないって。』

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作者名:みあん | 作成日時:2022年11月27日 0時

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