ひとくふう荘13 (ページ20)

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『えと。今日はこれから色々話すことも多いし、頭に入れなきゃいけないこともたくさんあるので、最初にご報告しときたいなって思って。』

『ん…何が変わるってことでもないけどさ、じいちゃんもいるなんて絶好の機会だから、一応みんなには正式に報告しとこっかって話してたんだ。』

お父さんがいらっしゃるからか挙動不審なくらいお身体が揺れてるミヤタさん。そのふぉろおしながら落ち着いてお話するタマさん。
でもね、お２人ともお顔真っ赤。心臓の音おっきい！
まぁ、そのお話を初めて聞くのはお父さんだけなんだけど、お２人見てるとなんだかみなさんまた緊張しちゃうよ〜！

『俺…こないだ、タマ…じゃない、裕太さんに…プロ…。』

その時。

バルコニーに続くガラス戸がガタガタガタッと大きく音を立てた。

『…ん？地震？？』
『いや…ガラスだけだ。』
『え？』

このガラス戸は風を受けやすい場所なので強いガラスとさっし入れたって、前にタマさんが言ってたの。
でも何故か強く揺れてます。お家は揺れてない。どういうこと？
みんながガラス戸にお顔を向けて、その原因を探そうとお目目をあちこち動かしてる。

そんな中、お父さんだけが明らかにすぅーっと冷えた態度に変わった。

『……あちゃぁ。こんな時に来るか。ちょっと失礼しまんにゃわ。』

そう呟くと、車椅子を器用に動かしガラス戸へと滑るように移動する。
そして、ガタガタ音を立て続けるガラスに相対峙して、みんなに明るめのお声で呼びかけた。

『…多分雑鬼やなぁ。けど力はある奴や。
裕太、太輔、みんなもよう見といてな。《実践編その１》。先代はもうちょい儀式的やったが、コレはあくまで俺のやり方でな？協力してくれはるひとと話し合うてやり方は模索していくねん。

さて、まずはお清めの得意な方に場所を作ってもらいまーす。

……桃さん、来れるか？』

その瞬間、お父さんをふわりと桃のお花の薄い香りが包み込む。

『…ありがとぉ。頼んます。』

お父さんのお声とともにいきなり視覚化されたおっきなお花がお部屋の中に現れた。かと思えばお父さんの隣に誰かが立っているのも見える！
……アレは…あの方は…。

『…あ！甘酒のひとにゃ！』

ヨコオさんが思わず指差した方は、静かにこちらを振り向いた。
やっぱりお顔はハッキリ分かんない。なんだかもやもやもやっとしてるの。でも白いお髭があるような？お身体はちっちゃくてお背中曲がってて痩せてるのにお肌はつるぴかりん。