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ドンブリとお花の檻。 ページ18

お父さんは風に残り少ない白い髪を弄ばれながら、バルコニーからの景色を眺めてる。


『…ええ眺めや。』


僕はお父さんのお膝の上でお身体をナデナデされながら、そのお顔を眺めてる。


さっき来た時にますくを外して僕の《熱烈歓迎お口ぺろぺろ》を受け入れてくれたから、ちょっとお口の周りは赤いけど、彼は紛れもなく僕のお父さん。
それなのに、今日のお父さんは僕の知らないお父さんだ。
…きっとたくさんの決意と覚悟をしてきたんだね。
澄み切った青空がお父さんのお目目に色を移すほど、そのお目目は真っ直ぐで。もう迷いがないことを示していた。



どうも、ドンブリです。
今日はお父さんがおうちに帰ってらっしゃいました。
ひとくふう荘の前の持ち主で、僕の元飼い主さんです。僕を引き取って育ててくれたお父さん。

みんなが、お父さんの《たま護り》という特殊なお仕事を知ったのはついこないだでした。なんとも珍しいお仕事で、しかもややこしいアヤカシさんたちが狙いに来るお仕事なんです。
キツネさんも神様が教えて下さることは情報収集できるけど、具体的に細かいことはお仕えしてる神様も分かんないんですって。どの神様が知ってるのかも分かんないし、みなさんが《たま》の全体像を把握している訳でもないとか。

で、本日は《たま》と《たま護り》について、お父さんが知ってることをみんなに教えに来てくれたの。

タマさんが次の《たま護り》を継ぐ決心をしたところで、お父さんから《たま》についてのれくちゃあを7人揃って受けることになったんです。



ということで、お遊びに帰ってきたんじゃないのが残念だけど。

『久しぶりやなぁ…ドンブリと寝るん。なぁ、ドンブリ。今夜はお父さんと一緒に寝よなぁ?』

うんっ!勿論!絶対!何があっても!!


僕はおしりからしっぽが飛んでいきそうなくらいの勢いでしっぽを振り回す。
当たり前です。一緒におねんねしない選択肢などありませんっ。

今日はね、お話長くなるからお父さんお泊まりなんだよっ?んふふ〜。
もう絶対お父さんから離れないもんねっ。今日はお父さんとくっついて過ごすんだもん。その為におといれもしっかり搾り出しておきました。お風呂も入って準備万端!!


…え?緊張感が足らん?お前の命に関わる話だろ??
そりゃお話は大切!
お父さんが僕をどうしたいのかも聞きたい!

でも、僕にとってはお父さんとのお時間が最大の重要事項。コレを邪魔するモノは何人たりとも許しまへんで。

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作者名:みあん | 作成日時:2022年11月27日 0時

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