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いきなりの告白にみなさんお目目ぱちくり、お口あんぐり。
当のトシコさんも呆然としてらっしゃいます。

『あ…あの…あの……。』

音がぱちぱちと聞こえるほどに、トシコさんはおっきなお目目を何度もまばたきしてる。
クラタさんは急に真っ赤になった。夜目でも分かるくらい!

『…そ、そそ、そうか。突然すぎるか。ははっ、ごめんごめん!』

それから頭の後ろにお手手を当ててお空を振り仰ぎ、ふうっとひと息ついてからまたトシコさんに向き直る。


『えと。こんなにカッコイイ人たちが周りにいるのに、突然俺が横から出てきても無理かもしれないけど…もし良ければお付き合いして下さい。

最初から声が素敵だし可愛いなって思ってて。実は《好きかも〜》と思ってた声のひとにフラれた直後に君と出会ったんだけど、声のニュアンスが似てる気がしてさ。なんか目が離せなかった。
でも見てるうちに声だけじゃなくてね、ドンブリ師匠が吐きそうになったら自分のスカート広げちゃう君も。
好きなことを全力で楽しんでる君も。
誰かの悪口じゃなくて、タマくんやバイトやひとくふう荘の話を嬉しそうに話してる君も。
急に自信がなくなっちゃう君も。
それから…君のことを愛してるタマくんも込みで、トシコちゃんが好きになりました。
今すぐ返事が欲しい訳じゃないから、これからゆっくり俺を見て考えてくれる?』


…ああ、クラタさんはとてもとても真っ直ぐ。
お顔はうちのタマさんに激似ですが、とても素直な方なんだね。
ネコタマさんがどんなふうにトシコさんをお守りしてきたのか、トシコさんがどんな目に遭ったのか。
それを見て尚、ネコタマさんごと包み込みたいと言ってくれる。


『…あの。私も実は前の彼とお別れしたところで…。』

『まだ忘れられない?』

優しくクラタさんがお首を傾げた。
トシコさんが考え考えお返事するのを、急かさずに受け止めてくれる。


『………今考えると彼は私を大切だとは思ってくれてなかったって分かってるんですよね。
でも、私は無我夢中であの人を愛してた。バカな愛し方だったけど、すぐに他の誰かと恋ができるほど軽い気持ちじゃなく…。』

それはトシコさんの大切な大切な《愛した記憶》。
哀しかったからこそ忘れられない初めての恋。
それでも…。

『…それでも。蔵田さんといると昔からずっと一緒にいたみたいに安らぐというか。
まるで私の形がすっぽり当てはまる席がそこに用意してあったような安心感があるんです。』

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作者名:みあん | 作成日時:2022年11月27日 0時

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