ひとくふう荘アンケート (ページ38)

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『なるほどっ。その手があったか。』

するとみんなはそれぞれ足首に取り付き、剛毛を腕にぐるぐる巻き付け…。

『…せぇの！！』

ブチブチブチブチブチブチブチ〜ッ！！

………あ、今聞こえないはずの悲鳴が聞こえたような。

あまりの痛さに天高く跳び上がっていった足のアヤカシさん。
しばらくして落ちてきたけれど、いつの間にか地面の上で待ち構えていたツチヒメさんのあ〜んぐり開いたおっきなお口の中にそのまますとーんっ。

……え？あんなおっきなアヤカシさんがこのヘビさんのお口に？？？

『つ、ツチ媛様っ！？』

みんなのびっくりしてるお顔を尻目に、ツチヒメさんは急にどらむ缶みたいにおっきくなったお腹と赤いおリボンを揺らしながら畑の真ん中の穴の中に帰っていかれました。

『あ、あ、ありがと、ツチ媛様。』

ちょろっと穴から覗いたしっぽの先がプルプルン！
どうやら《大義であった》とか仰ってるらしい。

『…そうか。ツチ媛様、アヤカシ食べんだ…。』
『だから今まで畑に何か変なものが来ても、跡形もなく片付けられてたんだな。』
『あんなデカいのも大丈夫なんだぁ。』
『え〜？身体ん中がブラックホールってこと？』

キタヤマさんとタマさんとミヤタさんとニカさんが、倒れたおナスの支柱を立て直しながらツチヒメさんのお身体の仕組みについて議論してる間…

『美味いのかにゃ？』

ヨコオさんは腕組みして何かをお考え。
おナスを抱えたセンガさんはそのお姿に恐る恐る訊ねる。

『…まさか…ヨコオさん、アヤカシを？』
『料理はしてみたいにゃ。』
『俺たちは食わないからなっ！？』

ガヤさんに即却下されたけど。

う〜ん。多分、キツネさんたちみたいに精を食べるってことなのかも…。

………ところで。

あ〜ん！お身体にお毛毛が巻き付いてて動けな〜い。誰か〜！おナスに夢中になってないで僕を助けてぇぇぇっっ！

『気付いたらアヤカシのすね毛にぐるぐる巻きで転げ回ってたもんね。そりゃ疲れたよね。』

くふくふ笑うタマさんのお声。
ムダにお疲れ様しちゃった僕の身にもなってほしいですぅ！

…ん？ミヤタさんの匂いが移動した？

そ〜っと薄目を開けてみる。

……と、しゃがみ込んで僕をナデナデしてたタマさんのお背中から、タマさんをぎゅうと抱っこするミヤタさんが見えました。

『ね？さっきの続き！』

『…ったく。しょうがねーなぁ。』

…ったく。しょうがないなぁ！
もう少しだけお目目閉じとくね？

fin.