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One Pair T ページ10

近頃、宮田のデレが激しい。

何かというと俺たち2人の主演BLドラマの話題。ラジオでは『嫁』呼びも躊躇わなくなった。

『タマとイチャイチャしちゃった〜。』

……んふ。

あ、いかん、喜んでる場合か、俺。


一部ファンには、ほぼほぼ公認夫婦の概念を勝ち得た俺たちだが、宮田も30歳になったからあんまり嫁とか言うなと言われて止めてたのに。マジでキモくなるからって。いいのかな?

俺?何故か俺はデレても言われないんだよね。
ゆるふわ自由な俺、最高。


だけど、子どもが出来たら〜なんて、現実の三十路男が語るようなことも時々話題にするから、その度俺はビクついてる。
宮田はスラスラとどちらの立場も使い分けるのがムカつきます。

あ、俺はずっと使い分けてますよ?ツンデレ設定だからね。時々、自分でもどっちで喋ってたか分かんなくなるけど。


『で、俺がいいの?女がいいの?』
『三次元の嫁はタマしかいませんが、何か?』
『でもさ…。』
『パパ友とかの話が嫌だった?』

気持ちとは裏腹に、ソファ下のラグに座り込みゲームしている宮田を、背中から抱き締めうなじにキスした。

『…ん。くすぐった〜い。王子は姫に夢を見てもらうのもお仕事なので。』
『てか、それが普通。』
『ま、俺たちのドラマ配信も人気みたいだし、宣伝代わりに多少イチャついたっていいでしょ?俺の姫たちはほぼタマが嫁で納得してくれてるし。俺たち【ヤベー】アイドルなんで。もっとアピールしちゃお?』

あら、ブラック王子。

『こんなに可愛くて綺麗で男前な嫁なんだもん。俺はめっちゃ自慢したいよ?』
『俺はいいけど。』
『素直に嬉しいって言って?』
『……嬉しい。』
『んはは、よろしい。』

ゲームを閉じ、俺に身体を預け振り仰ぐから、前髪を分けて額にキス。

すると宮田は立ち上がり、俺の手を取った。

『何?』
『夫婦がやることしたい。』

呆れて顔を見てると、またニヤリ。

『何?惚れ直した?』

このやろ。…でも。

『好き。』

頬に軽くキス。

『…あれ?タマさん、今日素直じゃね?』
『俺、ずっと素直だぞ?』
『そう?』

これが本当の俺。デレデレ。

『…ぐっ、おまっ、股間掴むなっ!』
『んはは〜。』
『嫁にお仕置きします!』
『ぎゃあ〜っ!』

これも本当の俺たち。やっぱりデレデレ。

ま、ここは旦那に乗っかるか。
結局俺にベタ惚れだし。
俺たちが幸せである為に、お互い発信するのも大事だよな。

笑いながらその温かい唇にキスを重ねた。


fin.

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作者名:みあん | 作成日時:2021年1月9日 19時

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