I need you！ (ページ28)

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The Game Of " I hate you " Ⅱ N ページ28

『大嫌い！』
『宮田、大嫌～い。』
『イッテェ！肩壊れるわっ！大嫌い～。』
『肩パンくらいで壊れませ～ん。んも、大袈裟だな。大嫌い～。』

おお、今日も大嫌いゲームかい。
バスの中、小さな声でやり取りする宮田とタマ。いつものように隣に座って。

『よく飽きないなぁ…。』
『二階堂もよく飽きないね、あの２人の観察。』

俺は通路挟んだ隣の席。その後ろの席から千賀が呆れたように小声で呟いた。
だって面白いじゃん。絵面も綺麗だし。
それに俺には宮玉解説者が付いてるし。

『今日はどっちが勝つと思う？』
『…俺らも何か賭ける？』

後ろを向いてこそこそ訊くと、千賀がふふって笑う。
俺が負けるに決まってるじゃん。含み笑いはやめてくれ。時々、異常に色気あんだから。

千賀から慌てて目を逸らし、宮玉を見ればまた新たな局面。

タマがじっと宮田の顔を見て止まっている。
宮田はその視線に気付いて、またもやモジモジし出した。タマの顔をチラチラ見る。

『な、何？』
『……もうこれ以上、嫌いって言いたくない。』
『うぇっ！？』

目を丸くした宮田の肩を引き寄せ、耳許で囁く。

『もう負けでもいいや。俊くん、好き。』

いや、聞こえてますけど。そばに俺たちいるからね、普通に。

『…た、タマ。』
『宮田さんは？』

ちょっと目を伏せてから上目遣いで、宮田を見るタマの顔は俺でも見惚れるほど艶めいてる。
宮田が真っ赤に染まった。

千賀がまた呟く。

『今日はタマさんの勝ちじゃない？』
『…そうなの？』

？？？なんで？？？

赤い顔で鼻を人差し指で掻きながら、宮田がそっと答えている。

『あ、あの、俺も…タマが大好きです。』

それを聞いた途端、タマがにちゃりと笑った。

『んふっふ～！宮田さんの負け～。』
『ん？』
『大好きって言ったな。』
『はぁ！？』
『俺が言ったのは、《好き》だからね～。』

宮田は左胸を鷲掴みにして仰け反った。

『…ぐ～っ、やられた！ズッル！』
『んは～、ざまぁ見ろ～。こないだのお返しだぜぃ。』
『俺のときめき返してっ！』

悪戯な微笑みを浮かべたタマが、また宮田の耳許に囁いた。

『……後で返してやる。』

だから！俺らに聞こえないように囁いてくんないかな。聞こえないフリすんの大変なんですけど～。

宮田が両手で顔を覆い恥ずかしがっている姿と楽しげなタマ。
口許だけ微笑んだ千賀。
吹き出しそうになるのを必死で堪える俺。

やっぱり宮玉観察はやめられないわ～。

fin.