I need you！ (ページ27)

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The Game Of " I hate you " N ページ27

『何だよ？顔見てくんなよ。大嫌い。』
『はぁ？見てねーし。鼻デカ。大嫌い。』

えーと、喧嘩？
宮田がタマに言い返すなんて珍しくない？
楽屋で昼休憩に聞こえてきた言い合い。

『くっつくなって！タマなんか大嫌い。』
『お前があっち行けよ。大嫌い。』
『マジでクソガキ…あっ、俺のチョコ…もぉ、食べたくて置いといたのに～。大嫌い。』

タマは宮田の隣に椅子をピタリと付けて、宮田が机の弁当の横にキープしていたきのこのチョコをポイポイ口に入れていく。
そうかと思うと唇を尖らせる宮田の前に、自分が食べていた煎餅を一口大に割り、おもむろにつまんで差し出した。

『…ん。ほれ、代わりにお煎餅。大嫌い。』
『…ん…ヒャイヒライ…。』

何の躊躇もなく、その白く細い指から煎餅を口にする宮田。タマはその指を舐めてから宮田のチョコをまたつまんだ。

『子どもみたいに甘えてんな。大嫌い。』
『甘えてんのタマじゃん。チョコ返して。大嫌い。』
『あ～ん。もう噛んじゃった～。大嫌～い。』
『んははっ、口の中見せんなって！』

…いやいや、えーと。『大嫌い』以外は完全にイチャついてるだけじゃん！

『何やってんの、あの２人？』

携帯画面を見ている千賀に小声で訊ねる。

『ん～？ああ、大嫌いゲームだって。とにかく大嫌いって言い合うゲーム。愛してるゲームの逆？』
『あれって、愛してるって言い合って、照れたり笑ったりしたら負けじゃん。これ何したら負けなの？』
『さあ？』

え？負けルールなかったら延々と続くよ？

『何だよ？俺のコト、本当は好きなんだろ？』
『あ？嫌いですけど～？宮田のバーカ。』
『……そうなんだ。』
『……？』

しばらくの沈黙。

千賀が眉も動かさず小さく呟いた。

『……宮田の勝ち。』

？？？なんで？？？

『…俺、トイレ。』
『ま、待って待って。俺も。』
『……。』
『え！何故に急に落ち込む？？』

タマが慌てて、悲しい顔で立ち上がった宮田の袖を掴む。

『ゲームじゃん！』
『だって…。』
『大好きっ、愛してるってば！』

タマが小声で言った途端、宮田がパカっと笑った。

『はい、タマの負け！』
『は！？ズルくない？』
『んは！俺も大好き、タマ。』

爽やかに笑う宮田の前に、ガックリ肩を落としたタマ。どうやら、大好きと言ったら負けだったらしい。
何か賭けてたみたいだけど、ま、いっか。

うん。それより千賀の予知能力のが怖い。

俺はとにかく弁当を食べつつ、無表情の千賀に恐れ慄いた。

fin.