I need you！ (ページ23)

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Oh！Please！ Ⅱ Y ページ23

コロナ禍の配信生放送。
思い出すと、少し胸が熱くなる。
緊急事態宣言が発令された頃、ウィルスの詳細があまり分かっていない中、番組を作るにも全員が知恵と技術を搾り出そうとしていた。

スタジオには俺と北山と千賀がいた。
後は別の部屋からのリモートになる。
７人が揃った久々の番組。なのに一緒にいない。目配せもできない特殊な環境。不思議な感覚だった。

しかも、俺は生放送ってだけでも緊張するのに、事前のくじ引きで役割が与えられてしまった。
番組にSNSで寄せられてくる意見や感想を、選んで読み上げる役らしい。カミカミの俺に？？うっ、気を付けよう。

ＭＣは北山に当たった。
慣れてる人はいいよなぁと思ってたら、いきなり渡された台本を懸命に読んでは、スマホで何か調べたり、スタッフさんに訊ねたり。突然の準備に忙しい。この陰の努力あってこそ面白いものが作れるのだ。ありがとう、北山。

とにかく無事に放送は始まった。タブレットに次から次へと流れ込んでくる視聴者のコメントに一瞬パニックになりかける。
けれど、すぐさま感想をもらえるのは面白いな。視聴者と会話しているようだ。

コメントを読むのに夢中になってしまった。あかん、俺は出演者だった。顔を上げ、モニターを見た。

すると、北山の話すアップの横で何やらちょこまか出てくる顔が見えた。

宮田と玉森だ。少し北山の後ろに見切れた各モニター。
玉森がちょこっと顔を出すと、宮田がちょこっと顔を出す。引っ込んだ玉森がまた顔を出して北山に応援するように拍手する仕草をすれば、宮田も同じようにする。

会ってもいないのにモニター越しでも遊べるのか。画面も華やかになるし、可愛らしい。

何より、孤軍奮闘する北山が１人じゃないと気付く。MCだけでなく、みんなで生配信を盛り上げたい気持ちが伝わる。
北山もモニターの宮田の頭を撫でてみせる。どうやらさっきのひょっこりが、かなり嬉しかったらしい。

風呂サーだったっけ？この３人。いい関係だ。
視聴者のコメントでも『風呂サー可愛い』が並んでいる。こんな時だからこそメンバー同士の仲の良さや信頼関係がよく分かるのだろう。

ふと、あるコメントが流れたのに気付いた。

『横尾さんの後ろに藤タマが顔出してる。可愛い！』

ああ、そうだ。俺もこの仲間たちの中の１人だったな。

嬉しくなって緊張が少しほぐれた。
この状況だからこそ、俺もこの仲間たちの中で自分の役割を果たしていこうと、また新たに感じていた。

fin.