Please Your Bet. M ページ1
『……何コレ?』
俺は愕然とした。
たくさん持ち込まれたタマの私物。
大小のぬいぐるみやら映画のDVD、本、使わないけど高かった椅子。
『あと、テーブルも持ってきていい?』
『ダメです。』
『えーっ?』
『俺の部屋は倉庫かっ?』
いやいや、大体こういう物は実家に送ってるだろ。何故、うちに持ってきた?
『俺の物はお前の物。お前の物は俺の物。』
いや、明らかに不要品ですよね?
『だって、俺の物置いておかないと浮気するじゃん、お前。』
『いや、2人で買いに行った物が在れば充分でしょ?時計とか洋服とか、ブレスとか。』
『んにゃ、他人にも一目で分かる物がいい。』
いや、椅子なんかさ、誰が一目でタマの物だと分かるのか。
『リモート飲み会、バカスカやってるじゃん。画面に写るように置いといて。お前の趣味じゃないもんがありゃいーの。』
……なるほど。やっと浮気防止の意味が分かった。俺からの浮気じゃなくて、虫除けか。
『いやいやいや、要らんわっ。ただでさえ大きい物多いのに。』
デカいクマとかデカい犬とかデカいシャンパンとか。
『大体さ、リモート相手なんて、塚ちゃんたちかアニ友か家族よ?やきもち焼く必要ある?』
『んー、必要はない。でも常に脅かしておきたい。』
おお、怖い嫁発言来ました。
嬉しいけどね。悪くはないけどね。
『丁度いいのがあったから。ぬいぐるみはここな。移動させんなよ?』
タマじろーがソファに鎮座する。代わりにラブライ○のクッションが床に転がった。
『これ持ってきていいの?』
『もう一つネットで買った。』
『は!?このために??』
わざわざ買うなら、北ミツに頼まず自分で買えば良かったのにね。まあ、人に貰わないとなかなか自分じゃ買わない物もあるか。
『俺のこと、たくさん考えて、たくさん恋しがりなさい。では。』
『はい?もう帰るの?』
『今からラジオ〜。一旦帰らなきゃ、マネに怒られる。』
俺は思わずその腕を捕まえた。
『何?』
『たくさん恋しがってほしいんでしょ?』
返事は聞かずに、抱き寄せて頬にキスした。
『……んむ〜。ほっぺた?』
『後はまた今度。俺も恋しがるから、お前も俺のこと恋しがってよ。』
顔を顰めたタマが、ブツブツ言いながら部屋を出るのを見送った。
後にはタマが仕掛けるトラップの山。
知ってるくせに。
こんなのなくても俺はお前しか愛せないって。
結局不要品の倉庫代わりだと知りながら、受け入れちゃう俺も大概だなと自嘲した。
fin.
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作者名:みあん | 作成日時:2021年1月9日 19時