検索窓
今日:10 hit、昨日:15 hit、合計:20,177 hit

39 ページ39

『…立てますか?あちらのシートで手当てを…。』

手を差し伸べ俺の腰を支えてくれたのを丁寧に断った。


『……頭を蹴られたので少しじっとしておきます…後は足を刺されたくらい…あ、あと、あんまり安心したんで腰が抜けてるかも。』
『血はあまり出てませんね?コレ感じます??』

足の親指の先をくすぐられて思わず身を捩ると、第2のチャラめスカイマーシャルはうはは〜と笑う。

『神経も大丈夫かな?…腰抜ける気持ち分かりますよ。俺もさっき人質取られた時はヤッベと思って焦ったっす。あ、すみません、それは内緒でお願いしますね。』

『……俺も、腰抜けて立てないのは内緒にしといて下さ〜い。』

彼はその言葉にニヤリと笑い親指を立てた。

『ナイスファイトっす。…てか、命があって良かった。無茶すんなって言いたいけど、あの女の様子見たらいいとこイッてたみたいっすね。相手がダイハードじゃなかったら、もう勝負ついてたのに。
あの足…急所ばかり攻撃してますが、何処の道場っすか?師範持ち??』

サムズアップで返しながら曖昧に笑っておいた。
《ネットで1番近いとこ探しました、習い始めて3年目》…とは言えないくらい感心してくれているからだ。
……ん。しばらく謎のままにしておこ。

それにしても、不安材料はまだ山ほど残っている。

『キタヤマさんの…えと…相棒さんは…?』
『…出血はなんとか止まったそうです。』

キタヤマさんは少し固い表情になり、それから力尽きた《おばあさま》の足まで拘束してから乗務員を呼んだ。
駆け寄ってきたCAたちは泣きながら俺の手当てをしてくれる。


『……チーフ〜!無茶しないで下さいよぉっ。』
『うっうっ…こ、こんなに怪我しちゃって…。』
『もぉ…チーフ、《惜しい》んだから《惜しい》らしくしててくれなきゃ…死んじゃうかと思った〜っ!』

いつもは貴婦人のような女性CAたちが、鼻水垂らしながら泣いているところを見ると、よっぽど怖くて不安だったんだ。
とてつもなく申し訳なくて、場を明るくしたくて。にゃははと笑ってみせた。

『ごめぇん。泣かない泣かない、メイク落ちるよ?』
『ヤダ〜っ!!』

あ、余計泣いた。

『……それよりCAが人質になったって…誰?怪我はない?』
『嶺岸さんです〜っ。あの子もスゴイ度胸でした。背後から顔にナイフを突き付けられたんですけど、隙を見てヒールで思いっきりそいつの足踏ん付けて…。』

……嶺岸さん、かなりの大物になりそうだな。

40→←38



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
60人がお気に入り
設定タグ:宮玉 , 玉宮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みあん | 作成日時:2022年9月13日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。