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1度敗者になった敵はもう容赦がない。
ガンガンに頭を蹴ってくる。脳内には衝撃を喰らわないように床にぐっと頭を押し付けた。この上内臓にダメージを喰らえば動けなくなると、俺は更に身体を丸め哀れな声を上げる。


『…か、顔は…。』

『ハンサムボーイはお顔が大事?なら、顔からぐちゃぐちゃにしてあげる。』

頭を踏みつけたまま、彼女はナイフを抜こうと身を屈めた。

…今だ。

ナイフを抜く瞬間を狙った。
今度は仕留める。必ず。

俺は床に付いている片足を右腕でぶん殴った。

『ぎゃっ!』

変な叫び声とともに《おばあさま》がナイフを落とすほどよろめく。
ちっとも学習してないな?あんた、すぐ女王様気分になるから、敵の前で無防備に片足になっちまうんだよ!

急いでナイフを向こうへ飛ばしながら起き上がり、クラクラと痛む頭を振りナイフを抜いた。そしてネクタイを素早く外し、傷から血が出る前に強く縛る。
その間に体勢を立て直した《おばあさま》がまた蹴ってきたがなんとか紙一重の差で避け、逆にその足を殴りつけた。


『…っ!イッタイわねっ!!あんたんとこのエアラインは客にこんなサービスすんの?』


怒りながら繰り出してくる拳は軽いけど速い。
仕方なく両腕で受けたり払ったり避けたりと衝撃を緩めながら、ジワジワと近寄る。
《おばあさま》は俺がわざと近付いてくるのを察知して、同じくジリジリ退がりながら攻撃してきた。固め技を喰らうことを警戒しているのだ。どうやらそこは学習できたらしい。
腹立つことに、こっちは満身創痍の身で《おばあさま》の拳や蹴りのスピードについていくのがやっとだ。こちらからはなかなか襟が取れない。
……だがこのままいけばチャンスはある。


俺の身体、動け。
いくら《惜しいCA》と呼ばれても構わねー。
けどここで飛行機の安全を守れずにCA失格と言われるのだけは、俺が俺を許せねーっ。


やがてその時が来た。
息の上がった彼女がハッと息を飲んだ。
飛行機の中で何処まで退がれるつもりだったのか。後ろの壁に踵をぶつけてその狭さを思い出したのだろう。

……追い詰めた!

俺は一気に間合いを詰め、身体を下げた。
《おばあさま》が一瞬俺を見失った瞬間その顎から頭突きを喰らわせる。
ガンッと強い音がして、彼女が後頭部を壁に打ちつけたことを確信した。

悪いけど、今回はここでは終わらせない。
その顔を鷲掴みにした俺は、手加減なしで後ろの壁に《おばあさま》の後頭部を更に叩きつける。

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作者名:みあん | 作成日時:2022年9月13日 7時

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