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うちのじいちゃんがペンギン描いてあるミントガムやキツい煙草を辛いと言っていたのと一緒かもしれない。
しょっぱくもなく唐辛子みたいに痛くもないが、糖度以外に酸度などの舌や喉に感じる刺激も味わいとして表現した言葉と言える。
ワインでも糖度の表示はあるけどね。


さてはて、ワールドワイドな酒マニアか、はたまたただの酒好きか、はたして??



嶺岸さんを人身御供にH40のお客様に差し出した俺は、他の12名のCAに指示を出して回る。
そろそろ動く時だからだ。


エコノミークラスはH40のお客様以外はとても穏やかな良い時間を過ごしているように見えた。
コロナ禍ということもあり、あまりウロウロすることもない。みんないい子だ。頻繁にCAが巡回するので呼び出しコールも少なかった。


ビジネスクラスの若月さんは幾つかの気付いた点を報告してくれた。
最後に視線だけで指し示したのは1人の高齢の女性だ。やたらにトイレが近いという。
欧米人で身なりは上品な浅葱色のスーツ。装飾品も派手すぎず大きすぎず、良いものを身につけている。

『…私としては、髪と靴が気に入りませんね。』

ファッション番長はそうバッサリ斬った。

ビジネスクラスやファーストクラスに乗るお客様全てが資産家や実業家という訳ではない。ファッションも割とカジュアルだったり、便にも寄るが常連様や慣れている方なら寝るだけだからと、空港のラウンジで着替えてジャージのような楽な服で来られる方もいらっしゃる。
ファッションだけでその人を断じることはできない。…が、その点だけ俺は若月さんの目を信頼していたりする。


ファーストクラスのコンパートメントは静まり返り、寝息さえ聞こえる。


俺はもう1度コックピットのドアに目をやった。

…緊張してるかな?大丈夫。みんなを信じて。




その時……機内の後方から怒鳴り声が響いた。

上級クラスのCAに目配せして、後方へと急ぐ。



『オレノ何ガ悪イコトカッ!!謝レ!』


アロハシャツの男が新聞を振り回している。
嶺岸さんは毅然とした態度で言った。

『他のお客様のご迷惑になります。再度申し上げます。お静かにお座り下さいませ。』

『差別スルカ!あじあんを差別シタ!!』

『私もアジアンです。ご注意申し上げている根幹をお忘れでしょうか。乗務員の身体を触るなどの行為は航空法で禁じられております。』


おっと。嶺岸さん流石。
前評判でかなり優秀と聞いていたが肝の据わった冷静な返事に惚れ惚れする。

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作者名:みあん | 作成日時:2022年9月13日 7時

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