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公共の福祉に反する行為及び他のお客様に迷惑となるような行為には毅然とした応対を取るのが、乗務員のいわば義務でもある。
まあ、昔は《飛行機に乗る》って1つのステイタスというか少し特別なことだったし、仕事に関連して乗る方も多かっただろうから、そこまでたくさんの迷惑行為はなかったんだろう。
外国客も増え、とても簡便に飛行機を移動手段の1つとして使えるようになってきた昨今では、お客様も様々な考え方やマナーの捉え方をする。
品性も多様化の時代…企業がそれに合わせていくべき、なんて話もあるが、サービス担当としてはより多くのお客様が不快な思いをしないで飛べるように計らうのが仕事。
今では更に罰則強化され、罰則金額も増加、コレは機内の安全を保てないと機長判断が下れば即機体ごと引き返すなど思い切った対応を迫られることさえある。
だが、その行為がどの一線を越えれば迷惑行為なのか。それを見極め、まずは予防に努める。難しいがコレは機内サービス担当の重要課題だ。
『それから……何か悩んどるなら聞くからさ。俺たちはエノっちの味方だで。勉強だって仕事のための習い事だってみんなで頑張ってきたじゃんね。1人で悩まんとぶっちゃけることも必要よ?…ま、恋のお悩みは全員苦手かもしれんけど。』
『…ん。ありがと〜。今度ご飯行こうね。その時に…。』
センちゃんは、あどけない笑顔で手を振って出て行った。
まだまだ男性CAの少ないこの職場で、《惜しい》と言われてきたのは俺だけじゃない。俺とニカ、ヨコオさん、センちゃんはそれぞれ別の理由で何故か《惜しい》と言われてきた。やっと近頃はみんな自信をつけてきたし、仕事も順調になってきたけど。
切磋琢磨し合う仲間がいるって、それだけで何でも乗り越えていけそうな気がする。
……そこまで考えて、ハッと思い出した。
鞍田くんの悩み…もっと聞いてあげれば良かった。
パイロット仲間でも切磋琢磨し合ってはいるんだろうけど。
…わざわざ訪ねて来て待っててくれたのに。
明太子せんべいまで持って。
昨日1日、ずっと後悔していた思いがまたリピートする。
嶺岸さんの言う通りだな。ちゃんと謝って、せめて連絡先の交換くらいはしよう。
あんなに心配してもらったんだもん。悩み聞くついでにお礼も兼ねて、ご飯とか奢ってもいいよな?
俺の中の鞍田くんという案件に少しだけ光明が見えた気がした。パイロットとCAという関係では、2度と話さない訳にはいかない。
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作者名:みあん | 作成日時:2022年9月13日 7時