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まずはこちら…ハンニュウグチびい。
今から避難するからと開け放たれた金属の扉の向こうには誰もいないね?お車は何台かあるけど、とらっくは停まってないみたい。
じゃあ、僕たちが入ってきたハンニュウグチええまで急がなきゃ!

くるりと踵を返してまた走り出す。
みなさん避難したみたいで誰もいないとはいえ、ここの廊下の床は滑りやすくて僕には走りにく〜い!
爪を立てたいのに、カシカシカシカシ滑って音立ててますっ。
あーん!本気で50メートル4秒の特訓しとけば良かったぁぁっ!!
おおぅっ!曲がり角でお身体が飛んでいきそう!?
だけどねー、やたら幼稚園に連れて行かれてお子様たちと追いかけっこしているせいか、踏ん張るお力と持久力は付いてるの。…忍耐力もね?
ケガノコウミョウ。ワザワイテンジテフクトナス。
あ。ヨコオさんの作ったおナスのお肉詰め美味しそうだったぁ〜!


とにかくお願いっ、間に合ってぇぇぇーーーっ!!



……ゼェ、ハァ…っ。

た、辿り着きました。ハンニュウグチええ。
最初にヨコオさんが間違えてくれたおかげで迷わず来れた!
でも金属の扉が閉まってます。後ろ足で立ち上がってみたけどのぶまでお手手届かな〜いっ。

あ、お外に人のお声!?

カリカリとドアを引っ掻き音を立ててみる。

『…あ、ほら!警備員さん!中にまだ誰かいらっしゃいますよ?開けるついでに私の携帯も探させて下さい〜。地震の瞬間まで持ってたんですもん。絶対警備員室の前に落ちてるはずっ!!』

『…もう、しょうがないねぇ。』


ん??聞き慣れたこのお声!

ガチャリと重い音がして開けられた扉の向こうには……やっぱりトシコさんだぁ!!

『ん?えっ!は?ドンブリちゃん?!…びっくりしたぁっ。なんでココに?ひとり??』

助かった!ありがと、トシコさ〜ん!
もぉ、しっぽぶん回しですぅぅっ。


後からバスで来たトシコさんも間違った入口を教えてもらってたんだね?おかげで出られた〜!
ケガノコウ…いや、今はそれどころじゃありません!!


『ドンブリちゃん?ど、何処行くの??』

とにもかくにもお外に躍り出た僕は、ぐるりと辺りを見回した。
倉庫みたいな天井の高い駐車場にはお車やとらっくもたくさん!??
確かお箱の中って言ってたね。

よく見るとただ今品出しもしくは積み込み中らしきとらっくも何台かあります。
その内、だんぼおる箱を積み込もうとしてるのは2台。誰もいないのは、やっぱり地震でお外に避難したからみたい。

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作者名:みあん | 作成日時:2022年7月10日 1時

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