ひとくふう荘 10 (ページ27)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:11,170 hit

11 ページ27

僕を守る為にお父さんは僕を置いていった？
どういうこと？？

『《たま》を狙ってんのがどんな奴か分かんないし、どこまでそいつらが状況分かってんのかも分かんないけど…おじさんが《たま護り》だと知れば必ず身の回りを調べる。《たま》に手が出せないと分かり、《たま》とドンブリが何らかの関わりがあると疑えば……俺ならまずドンブリを手に入れる。人間攫うより簡単だしさ。』

ああ…とみんなが眉を顰めた。

だから、お父さんは僕に情報収集を命じたのかも。
どんな些細なことも見逃さないように。
周囲がいつもと違うとあらばすぐに対応できるように。
僕自身が知らずと防衛できるように。
例えお父さんと僕の距離が離れていても…。

それは《たま》のためでもあり、僕の為でもある。

『ドンブリは今は俺の犬だから。必ず俺が守る。』

タマさんは、僕を抱っこするお手手にぎゅうっとお力を込めた。

『……よし、俺も守る。ドンブリはタマだけのもんじゃない！』
『いや、俺が守る。ドンブリは俺のもんだっ！』
『いやいや、俺でしょ？な？ドンブリ。』
『待て、俺しかおらんて！』
『こういうのは俺だっつの。俺が１番ドンブリと意思疎通してるっ。』
『じゃ、俺はタマを守る。』

みなさん我先にとお手手上げてますが、お顔はニコニコ笑ってます。
……あれ？ミヤタさんは何て言ったっけ？？
泣いてたタマさんのお顔が急に真っ赤になりましたが。

んふ！いつものひとくふう荘になってきたね！！

『まぁ、おじさんとも１度話し合ってみにゃいとな。知ったからにはきっちり対策したいし。』
『キツネさんの立場からだけじゃ、まだ分からんことも多いし。おじさんの知ってることと合わせて状況掴みたいよね。』

『あ、キツネっち？ドンブリが《神に選ばれた》までは分かったけどさ、なんで燃えたの？』

それを訊かれたトシコさんは、急にお顔を顰めて口籠った。お鉢からおせんべいを取り、ちびちび齧りながら呟く。

『実は……彼にも清めの力があるのだよ。神様たちに似た力が…。』

またもや７人はお目目ぱちくり。

『……はぁっ！？何それ？』
『やっぱ少年ジャ◯プっ！！』
『完全にアニメの主人公設定！』
『犬だけどっ！？』

お口の中のおせんべいをごっくんしたトシコさんが小首を傾げる。

『私たち眷属は神様のお力を借りて清めることはできるが、私の見たところ吾妹子は個の力で誰かの哀しみを清めることができる。癒やすという言葉では表せない清めの力だ。』