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しばらくしてから、ニカさんとセンガさん、キタヤマさん、ミヤタさんがお父さんを抱えて階段を降りてくれた。さっきのマッサージのおかげか、お父さんもしっかりキタヤマさんとミヤタさんの肩に腕を回して、力を入れている。
タマさんとミヤタさんがりはびりの先生に階段の降ろし方を聞いてきてくれたの。やっぱり少しでも安全にって。
後ろと前にヨコオさんとガヤさん。タマさんは玄関から車椅子を運ぶ係。


地下のお部屋に入ると、お父さんはおっきなお声で驚いた。

『はあぁっ!……綺麗なこっちゃ。物置き部屋やったのに!!』

僕もびっくり。地下のお部屋はあちこちに置かれたニカさんのランプとタマさんセンガさんのぷらねたりうむで優しく照らされていたの!!

みんなは車椅子にお父さんを座らせて、僕をそのお膝の上に載っけてくれた。
それからちゃんとせってぃんぐしていたそれぞれの楽器の場所につく。

そして、キタヤマさんがマイクを持って、お父さんに向かって話し出した。


『ええっと、おじさんにも何度かライブに来ていただいていましたが、お陰様でまだ俺ら音楽もやってまして…この地下室を使わせていただき練習や配信ライブなんかしています。
んで、一緒に住んだり音楽できるのも、おじさんのお陰でもありますので、なんとか俺たちの感謝の気持ちをお伝えしたいな〜なんて、みんなで話し合ってきました。
色々プレゼントするのもいいけど、俺たちらしいのは何だろって…。

で、おじさんへの曲を作りました。《僕ラハ君ナシデ愛ヲ知レナイ》、聴いて下さい。』


それはとっても素敵なお歌だった。
カッコイイ?のに、優しい。
僕にはお歌のことはよく分かんないけれど、なんだか素敵〜…。
お父さんも、僕のナデナデを忘れるくらい聴き入っている。


…あ。ぽつりと僕のお鼻の上にしずく。

僕、知ってる。人間は嬉しい時や哀しい時に目から涙が出るんだよね?

お父さん、嬉しい??

ううん、違うね。この涙はお心が動いた時の涙だね〜。
嬉しいとか哀しいだけじゃない、お胸が熱くなって詰まってしまうほど、何かを感じた時の涙???

…人間って不思議。自分でもよく分かんない涙が溢れてくることがあるんだって。
ミヤタさんがアニメ観ながら出す涙も、ガヤさんがおつかいするお子様のテレビ観ながら出す涙も同じかなぁ。


でも、この涙は…優しくて甘くて、痛くてしょっぱくて、少し苦い。
多分、お父さんの記憶のお味なんだね。

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作者名:みあん | 作成日時:2021年11月12日 19時

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