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タマさんも頷き、キタヤマさんが持ってきたりゅっくさっくからライターを取り出してガヤさんとセンガさんに渡す。
ミヤタさんとキタヤマさんは先に秘密基地の鉄棒を上り始めた。


『…とにかく、あの手紙は持った途端に燃やして?取り込まれないように。一瞬でも同情しないでね。燃やせたら、ニカをジャングルジムから引き摺り下ろして。』
『てことはニカをミドリがおかしくしようとしとるの?』

センガさん、今にも泣きそうなお顔。
かつての初恋の女の子という、ほのぼのとした綺麗な思い出が踏みにじられている気がするのかも…。

……センガさん、違うよ!大丈夫…今なら。


『……正確にはミドリちゃんじゃないらしい。俺もよく分かんないけど。
ワタ!ワタにもお願いっ。お化け出ないとこへ今すぐおつかい!!』

ガヤさんとセンガさんも秘密基地の鉄棒に取り付いた。
ニカさんはもう屋根の下にある広場のような鉄板の上で、真っ暗になってきた夜の気配のもとにお手紙を見ては抱き締めている。何かに追い詰められたように。


あ、真っ暗な中でお手紙読んでいるのは、もはやニカさんじゃないの。力を持たされたただの記憶だよぉ?
僕にはミドリさんの記憶なのか、ニカさんの初恋の記憶なのかは分かんない。どちらも…なのかしら。
きっと、あのお手紙はミドリさんにとっては最初で最後の恋の告白。
ニカさんにとっては、幼い自分が想い続けた人からの最初で最後の本当のメッセージ。
お子様ながらに、真剣だった愛の記憶なの。

本当なら、ミドリさんがまた新しい愛の記憶を作り上げて、そのお手紙への執念も薄れてしまうはずだけれど。
…ミドリさんは愛を発露することなく、いなくなってしまったから……ん?


僕は僕の考えの矛盾に気が付いた。


あらあら?
ミドリさんが、自分が書いたお手紙にあんなに固執するかしら?
ニカさんの初恋の記憶が、あのお手紙に固執するのは分からないでもないけど〜、
昔、タマさんたちがあの記憶に襲われた理由がないね?


あの記憶は、ミドリさんでもなく、ニカさんの記憶でもないんだ。
じゃ……どなたの記憶?


僕は矢も盾もたまらず、秘密基地へ走り出そうとした。だけど、グンッとリードで首が引っ張られちゃった。

『…ドンブリ、ダメ!お前は上がれたとしても降りられないから。』

ええ〜っ!?
だって、あの記憶がどなたか分かったほうが良くないですかあぁぁぁぁっ???
僕、お鼻とお耳で情報集められるも〜んっ!

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作者名:みあん | 作成日時:2021年11月12日 19時

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