ひとくふう荘４ (ページ16)

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あー、ご心配なく〜。
……ほら。タマさんが技を解いてあっち行ったら、ミヤタさんお目目閉じたまま、くふりと笑ってるでしょ？
う〜ん、キタヤマさん、正解。やっぱり、ただのイチャイチャです。痛そうだけど。

今朝の朝ご飯は、わかめとおナスのお味噌汁と、きゃべつの浅漬け、大根おろし載っけたホッケの干物。ホッケ…ポッケ…ほっぺ……んん？柔らかいお魚？後でタマさんにおねだりしてみよっ。

『りんご食べる？食べる人〜？？』

タマさんが丸い甘酸っぱい匂いの果物を持ち上げると、２人ともお手手を挙げます…ミヤタさん、バレちゃうよ？

『ハイハイ。……ミヤ、お前はいい加減起きて手伝いなさい。』
『…ぅえ〜？俺、気絶してるのに？』
『ボウルに塩水作って。色止めするから。』

仕方なく起き上がりらぐを片付けて、タマさんの言いなりに動くミヤタさん。

『……長続きする夫婦の秘訣を、既に自然とやってる宮っちがスゲぇわ。』

キタヤマさんはお２人に聞こえないようにひとりごちる。もうおかしそうに笑ってる。
きっと好きなんだよね、お２人見るのが。

７人は全員でもとっても仲良しなんだけど、中でもそれぞれ関わり方があって。
例えば、ミヤタさんとタマさんが所謂お若いご夫婦みたい。
ニカさんとセンガさんは性格もお顔も違う双子さん。
ガヤさんとヨコオさんが熟年夫婦？みたい。
キタヤマさんとタマさんは兄と弟。
タマさんとガヤさんは従兄弟だけど姉と妹……みたいに、それぞれ、黙ってても通じ合うご関係があって。

で、このお３人も、ちょっと不思議な強い繋がりを持つご関係みたい。
さて、昔に何かあったのかしら。

『そういやさ、学校の近くの…あの公園、整備するらしいぜ？』

キタヤマさんのお言葉に、タマさんとミヤタさんの動きが止まった。

『俺たちの秘密基地？』
『…なくなるの？』
『遊具を無くすらしい。老朽化してきてるから危ないって。最近は溜まり場にもなってたからなぁ。広場として可視化したほうが使いやすいんだろ。』

剥いたリンゴをポチャンと塩水に浸けて、タマさんが呟く。

『そうか。じゃ、ちょっと早いけど掘り起こしに行かなきゃね。』
『…そうだなぁ。』
『それは、みんなで行かないとね…。』

何を掘り起こしに行くの？
隠したおやつ…ではなさそう。７人の秘密なのかしら。

ミヤタさんがカレンダーを見に行く。

『明日は夕方からみんな空けられそうだね。今、訊いてくるわ。』
『俺はOK。』
『俺も〜。』