ひとくふう荘４ (ページ14)

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ドンブリとお父しゃん。ニ。ページ14

僕、ドンブリでしゅ〜。

…あのね、ぼく、いま、こまってましゅ。

テレビ見てたら、お父しゃんのおめめにお水がわいてきたの。そのお水があふれちゃってぽたぽたぽたぽた…お父しゃんのおひざの上のぼくのあたまやおはなにおちてきちゃうの。

……もうぼくびちょびちょでしゅぅぅ。

これはなぁに？なんでお水が出てくるの？？
おいしい？

なめてみたけど、おいしくはないかもぉ。
んとぉ。あまくてしょっぱくて、いたくてちょっとにがいの。

『…うっ、ぅう…っ。』

へんなお声まで出てきて、なんだかしんぱい。

ぼくは、おもわじゅお父しゃんのほっぺをぺろぺろぺろんっ。
そしたら、やっとお父しゃんがぼくを見た。

『ドンブリ…ありがとぉ。ありがとな…。アイツ、よぉあんなんしてくれてたさかい懐かしくてなぁ……。』

そばにあったてぃっしゅのおはこからたくさんかみを出して、おはなをちーーんっ！
それから、まだ止まらないおみずをおかおからたくしゃんおとしながら、ぼくのおかおもふいてくれました。
でもね、おみずはまだまだおちてきちゃう。
ふしぎふしぎ〜〜〜っ。

『アイツ、照れ屋さんやったから…くっつきたくても恥ずかしかってん。可愛い愛情表現やったなぁと思たら、なんや涙が止まらんくなってもた…。』

お父しゃんは、ぼくをおひざからおろしておへやのはしへ。
《おぶつだん》があるの。お父しゃんのおくしゃんがいるんだって。
ぼくにはよくわかんないけど。

『なぁ…お前、俺んこと大好きやったんやろ？俺も大好きやで。こんなテレビ見ただけで、涙が止まらんくなるくらい…。今でもええからさ、ちょっと出てきてくれや……ちょっとでかまへんさかい…。』

ちょっとうるしゃいテレビのおとをききながら、しゃびしそうなお父しゃんのしぇなかをぼくは見つめた。
どなたもいらっしゃらないけど、お父しゃんにはいるんだね。きっと。

『なぁ、ちょっとだけでええから…縦四方固め掛けにおいで？………な？』

《……日本女子柔道選手権決勝戦は時間いっぱい使いました。いやぁ、最後は粘りました〜っ！》
《そうですね、いい寝技でした。ひっくり返させない強さが彼女の持ち味ですね！》

…お父しゃんとおくしゃん、そんなにじゅうどうがしゅきなのかなぁ？？

おしっ！！
ぼくがおっきくなったら、おくしゃんのかわりにた〜くさん《たてしほうがため》してあげるからねっ！
まっててね！お父しゃんっ。

fin.