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ガヤさんは、カラスさんの頭を優しく優しく撫でながら言った。


さて、明くる日の夕方。
カラスさんは順調にご飯を食べて、少し羽を広げるほど力が出てきたみたい。
良かった。この分ならすぐに飛べそうだね〜。

今日はミヤタさんがお休みだったから、ずっとつきっきりでカラスさんのお世話。
時々、練習中だというぴあのやギターを弾いて、僕やカラスさんに聞かせてくれる。

《ほう。人間は自分の声で歌えても、道具に歌わせるのか。》

カラスさんの見方も面白いね!


それから夕方、いつもの時間になるとミヤタさんはカラスさんを箱ごと連れてバルコニーに上がった。
日向ぼっこ…ではないみたい。急に街に向かっておっきなお声で…。


『クワァーーールルル…!』


カラスさんのモノマネを始めた。
何度目かで、ようやく首を傾げている僕に気付いて、ミヤタさんは恥ずかしそうに頭を掻いた。

『いや、そんな顔で見ないで、ドンブリ…。
もし、カラスくんが会いたいひとが毎日聞いてたら、急に聞こえなくなったら心配するじゃん?同じ場所で待ってるよって伝えたくて。下手なのは許して?』


ああ、コレはミヤタさんのひと工夫。
カラスさんが会いたいひとに会える為の。
下手だなんてとんでもない!ちゃんと切ない感じもよく真似できてます。

箱の中のカラスさんも小さなお声で《クワァーールルルッ》と思わず鳴いている。


それにしても、何故カラスさんが会いたいひとを呼んでいるって分かったのかしら。


2日後、カラスさんは順調に回復してお元気になった。お肉や鳥のエサもしっかり口にして、羽ばたきも始めて。
朝からヨコオさんがそれを見て太鼓判を押してくれる。

『うん、これなら飛べそうじゃん。』


みんな起きてきて、バルコニーに集合。
カラスさんをお見送りする。

『元気でな?』
『ちゃんと食べろよ〜っ!』
『身体ひやさないようにね?』
『うちで倒れたらまた助けてやるから!』
『…ま、そうならないことを祈るわ。』
『……ウチはカラスの療養所か!』


ミヤタさんは箱からカラスさんを出しながら呟く。

『…会えるといいな!』


それから、バルコニーの柵にそっとカラスさんを立たせて、お手手を離した。
カラスさんはすぐにお空へと羽ばたいた。
くるりと一回転して、ありがとうってお言葉にならないお言葉を残して。
みんなもニコニコしてお手手を振っていた。

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作者名:みあん | 作成日時:2021年10月26日 1時

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