ひとくふう荘３ (ページ26)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:18,434 hit

4 ページ26

センガさんががいどぶっくをみんなに見せながら、指差したのは山の中の小さなおヤシロ。
ヨコオさんもおっきく何度も何度も頷く。

『行きてぇ。でも登山キツそう。』
『え？駐車場あるって書いてあるよ？』
『おまいら、若いもんが寺社仏閣て…行く。』
『北山さん行きたいんかよ！ジジくさ。』
『ニカはもう一回根性叩き直す必要あるな。』

本当はタマさん発案のボートの急流下りしたかったのに、前日の大雨で水かさが増えて中止になったみたい。
ご飯食べてから、みんなで何処に行くかのお話し合い…と言っても、急流下りできるくらい山の中だからあまり観光するとこはないの。

キタヤマさんがお車借りて、７人で日帰りのお出掛けだって。
集まるだけで楽しいお友だちで、新しいことを共有するのは、きっともっと楽しいことなんだねぇ。

しかし、みなさんお顔が若い。
キタヤマさんは変わんない…ミヤタさんとタマさんは美少女。センガさんは海外のお子様みたいな可愛らしさ。ガヤさん、髪が長いなぁ。凛々しいね。
あれ？ヨコオさんとニカさんに牙がある！？人間って若い時は牙があるの？他の人はもう生え変わった？

『肝心のタマは？』
『タマ、ゲームやめろよ。』

ガヤさんに訊かれてもヨコオさんに怒られても、げえむからは目を離さないタマさん。あらあら。

『いいよん。あ、みんなでプリクラ撮りたい。みんなで携帯に貼ろーよ。』
『また懐かしいものを…。』
『最近のプリクラ、肌が綺麗に写るらしいよ！俺も撮りたい。』

センガさん、もうお肌気にしてたんだね〜。若くてぴちぴちなのに〜。
タマさんは、やっぱり７人でいるのが好きだったんだ。そこは変わらないんだなぁ。

『俺はガールズセント・フォリアの聖地…。』
『却下。』
『キモ。』
『あう。』

あらま、頭ごなしに否定されちゃった。ミヤタさん、頭を掻いてるけど…イジられ役だったのね。

でも、タマさんがげえむから目を離すことなく、ちょっとミヤタさんにまたお尻をくっつける。お言葉に出さないお言葉、もうあったんだ。《落ち込むなよ？》って慰めてるの。
そうか、だからミヤタさんはこんなにニコニコ笑えるんだなぁ。

お若い頃の７人は、変わらないようで、やっぱり何処かまだ若くてとげとげ。これから色々なことを経験して、丸くなっていく前の冒険者たち。

今の素敵な７人と出会えた僕は、なんて幸せなんだろ。勿論、この時代の彼らあってこそ、今の素敵さがあるのだけれど。