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『あのぅ…二階堂さんに警察に話すのは待ってと言われたのですが、私たちはどうしたら…。息子のしでかしたことを隠すつもりはもうありません。ホテルは人手に渡してもいいと思っています。犬たちにも飼い主さんたちにも、心の傷を負わせたホテルなんて…。』
このお父さんも、犬が大好きなんだ。
だから犬と入れる温泉にしたんだね。
楽しかったよ!僕、今までのお風呂の中でイッチバン楽しかったぁっ!!
ニカさんはみんなのお顔を見た。
みんなは、ニッコリ笑った。
また、お言葉のいらないお言葉を使ってる。
あ、僕のお顔も見てくれた。
僕はお返事の代わりに、しっぽを振った。
『…俺たち、息子さんたちとココでサバゲーしてたんすよ。俺たち強すぎるんでちょっとやりすぎちゃって…相手チームが全員伸びちゃったみたいなんですけど。
すみませんけど、相手チームさんと、何故かここにいたわんちゃんたちと飼い主さんたちのことは、社長さんたちにお任せしていいですかね?』
ニカさんが両方のお手手広げてパァにしてみせた。
《僕たちはもう気にしないので、後はあなたが頑張って!あなたなら大丈夫!》
社長さんは、それを見てボロボロ泣き崩れる。
僕、この人は好きだよ?
だから…分かんないけど、大丈夫。
『あ、また僕たち泊まりに来ますので!いい温泉でした。やっぱり広いお風呂でわんこと入れるのっていいですよね〜。』
『ご飯も美味しかったし。うちの子も喜んでましたん。』
『あちらのスタッフさんたちも、スッゴく親切だったし!』
センガさんやタマさん、ミヤタさんは口々にお宿を褒めてニコニコ。
うん!それはもぉびっくりするほどとんでもないくらい面白かった〜っっ!
また僕たちがお泊まりに来る時まで待っててね?やめないでね?
後は、あの閉じ込められていた犬たちの心の傷だけど…。
ねぇ?こんなお宿に一緒に連れてきてもらえるくらい、大切にされてる子たちだもん。
きっと、飼い主さんと会えば慰め合えると思うの。
ね?ルカさん!
《……そうね。しばらくはお互いに不安だったり怖かったりするだろうけれど。
少なくとも私はヒカルくんやお父さんやお母さんと幸せでいたい。今日のことで強くそう思えたよ?》
乗り越えられるかな?
《乗り越えるわ。でないとこの救われた命が勿体ないでしょ?》
ルカさんはヒカルさんの胸に、愛おしそうにお顔をぐりぐり擦り付けた。
ヒカルさんは、ただただぎゅうぎゅうとルカさんを抱き締めてくれた。
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作者名:みあん | 作成日時:2021年10月26日 1時